本日は配線保護部材の検討要件をまとめます。

 

実際に弊社がお客様にご提案する際にヒアリングする視点・設計から

一緒に行わせていただく際に検討する項目を基にまとめます。

 

■配線を保護する目的と要件

 

①目的について

当然、電線を保護することになりますが、「何から」保護するのかによって

どの程度のスペックの保護材を選定するのかが決まります。

以下に配線保護の目的を項目ごとに記載します。

 

・結束/収納

単純に何本かの配線を束ねてまとめることで収納性を向上させることを目的とします。

結束バンドでまとめてしまえば最も安価で済みますが、以下に記載するようなケースには対応が難しくなります。

 

・摩耗

機器自体の稼働や振動による断続的な摩耗や、配線に何かしらの衝撃が加わることを防ぐことを目的とします。

摩耗の頻度や、加わる負荷に応じて、強度の高い保護材を選定する必要があります。

強度とのトレードオフで、柔軟性が失われることもあるため

強度と柔軟性を兼ね備えた保護材の選定需要が高まっております。

近年ではそこに「作業性」も加わり、

柔軟性×強度×作業性のバランスを如何に取るかが重要になります。

 

例:後入れ編組チューブ

https://www.denka-e.co.jp/products/detail/7

 

・熱

配線を使用する場面が常温環境下ではない場合、周辺環境温度に対応することを目的とします。

影響を及ぼす範囲と温度を明らかにするとともに、断熱をするのか、配線自体は耐熱性があり

保護材にも耐熱性が必要なのかを整理する必要があります。

 

耐熱の電線を使用しているケースでは、耐熱電線を結束収納する場合には耐熱結束バンドが必要になります。

 

例:耐熱結束バンド

https://www.denka-e.co.jp/products/detail/82

 

・ノイズ

配線に機器から発生したノイズが影響を及ぼさないように保護することを目的とします。

ノイズ対策については別途記事にてまとめますので詳細は割愛致します。

 

・水分/粉塵

配線に水分・粉塵が付着した場合に配線の被覆に影響を及ぼさないように保護すること目的とします。

IP等級で防塵防水の等級がありますので、どのグレードで保護する必要があるのかが

明確になっていれば、そのグレードに応じて検証が行えます。

 

・薬品/オイル

配線に対して、薬品やオイルが付着した場合に配線の被覆に影響を及ぼさないように保護すること目的とします。

どういった種類の薬品なのかをによって選定する保護材の材質が変わります。

 

・耐候(紫外線 湿度

屋外で使用する場合、配線に紫外線などの影響から保護することを目的とします。

耐候性については紫外線照射での実験に基づき、保護材そのものが劣化しないかが

ポイントになります。

 

例:耐候性結束バンド

https://www.denka-e.co.jp/products/detail/198

 

・害虫/害獣

配線を害虫・害獣から守ることを目的とします。

近年では害獣による断線の事故も多発しており、対策が求められております。

 

②要件について

要件については配線を保護する機能とは別に、お客様のポリシーや

発注先の指示により様々となります。

ここでは一般的に求められる要件を記載します。

 

・環境負荷物質

ROHS・REACHなどの規制物質の含有有無

 

・難燃性

UL規格に基づく、難燃性のグレード

 

・サイズ

被覆物体の外径

 

・施工

既設の電線の場合、後付けできるものを選定する必要があります。

 

・長さ

保護する対象の長さ

 

・使用場所

クリーンルームの場合は発塵のない製品を選定する必要があります。

 

 

上記の目的の整理と要件の整理を行ったうえでご相談いただければ

最適な製品のご提案を行わせていただきます。

 

次回は上記の目的別にどういった製品バリエーションがあるかを

まとめていきたいと思います。