探し物(2)
ガードレールを乗り越えて、植え込みに転がり落ちる様に入り、生い茂る草をむしり取り何かを探していた。
何を探しているのか解らないまま、一緒になって植え込みに入って探した。
「ない・・・ ない・・・ 」
草や土で全身ドロドロになりながら、擦りキズもあっちこっちに作り血が流れているのも、無視して、一心不乱で探し続けている。
そんな姿を見ている内に、不気味思えた彼女が可哀想に思えて来た。
延々探している内に、道路から見ていた野次馬の人の姿も無くなっている。
もう無いのではと、諦めて帰ろうかと思った時に、悲鳴のような声が響いた・・・
「あった! あった!」
ボロボロになった手で、大事そうに両手で抱え込んで、別人の様な穏やかな顔で涙を流している。
ここから出ようと、彼女に近寄ると座り込んだまま、意識を失っていた。
疲れ切っていた体を鞭打って、彼女を抱えて植え込みを出たると、道路の向こうに花束を持って、涙ぐんでいる高校生が3人立っている。
そのまま、行こうとしたら、失くさない様にポケットに入れていた、彼女が探していた物を落としてしまった。
「それ!何処に有ったのですか?」
持っていた花束を落として、やさしく落としてしまった物を拾い高校生たちは泣き崩れる。
「あの・・・ それって・・・?」
「この前の事故で亡くなった友達のなんです。あの子が大事にしていたのですが、見つからなくて・・・」
ようやく、探し物は持ち主の仏前に供えられたそうです。