Secret Meeting for Secretaries

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「その人」は、
窓のむこう、我が家の4階のベランダに
軽やかに降り立ちました。
まるでピーターパンのように。





この夏、
私の住むマンションは
外壁工事のために
足場と黒い網のようなもので
すっぽりと覆われていました。


窓の外では
大勢の職人さんが
塗ったり削ったり叩いたりを
繰り返していました。


窓の外と中とで目が合うと
何やら気まずいので、
夏中カーテンは閉めたままでした。


そんなある日、
カーテンの向こうに舞い降りた
若い職人さんが、
先輩の職人さんに
こんなことを言うのが聞こえました。


「オレ、子どもの頃の夢は
人の役に立つ仕事をすること

だったんですよね…」


その声はひどく自嘲的でした。
『こんな仕事じゃなくて…』
というつぶやきが聞こえてきそうなほどに。


それを聞いた先輩は「あぁ…」と一言。


『お前の言うことはよくわかるよ。
でもさ、仕方ないだろ』
そんなふうに聞こえました。


後輩の職人さんが言う
「人の役に立つ仕事」とは
警察官や医者のような職業だったのかもしれません。


でも、と思いました。


でも、あなたは今まさに、
このマンションの住人のために
すごい仕事をしているじゃない、と。


じっとしていても
汗が噴き出る真夏の炎天下に
日差しを遮るもののない屋外で、
朝から夕方まで
のぼって、おりて、
運んで、組み立てて、吹きつけて…。


私たちは毎日感謝していますよ!と。


それに、と思いました。


それに、あなたたちは
ものすごくかっこいい。
まるでピーターパンか
サーカスの人のようだ、と。


思わずカーテンを開けて
まくしたてそうになりましたが、
理性が勝って、
私は黙って膝を抱えて座っていました。


夏が終わり、
職人さんたちは
次の現場へと移っていきました。


あの時言えなかったので、
今日ここに書きました。


いつかどこかで誰かが
あのピーターパンに
伝えてくれるといいと願いながら。


理想かもしれないけれど、


大切なのは、


「何になるか」ではなくて、


「何をするか」だと思っています。


人を守るのは、警察官だけではないし、
人を救うのは、お医者さんだけではないです。


「何をしたいか」が決まっていれば、
やり方はきっとたくさんあります。


まず私がしたいのは、
きれいにしてもらったベランダを
大事に使うことです。