Scaleless 共優性モルフ(Codominant Morph)

 

Scaleless Ballpython

 

名前の通り【鱗】が無いBallpython.

NormalのBallpythonとは

見た目も触り心地も全然違います。

そしてピット器官がありません。

ピット器官とは蛇の赤外線感知器官のことです。

普通のBallpythonであれば上唇と鼻の間に

ピット器官がありますがScalelessにはそれがありません。

 

 

↑ピット器官

 

蛇にとって重要な役割を果たしている

【鱗】が無くて生き物として不自由なく生きていくのに

と長年議論されているMorphです。

 

人間で例えると全身の皮膚が無いような

状態と同じだと思います。

もし、自分がその様な状態だと

考えるとプラスの感情はあまり湧かないですね、、、

 

最初に考慮しなければならないのは

このMorphを正式に受け入れるか

どうかだと思います。

 

Spiderでさえも神経障害が

出ると分かっているのに繁殖を

するのは動物虐待だと考える人は今もいますし

それが間違っているとも思いません。

 

Scalelessも同様に誕生した時は

喜んだ人もいれば虐待だと考える人で

意見が分かれました。

 

勿論、【鱗】は蛇にとって重要な役割があります。

 

1.外部からの捕食者や自然による衝撃から

守る一番外側のプロテクターの役割

2.脱水を起こさないように水分を保つ役割

3.動き回る為に牽引力を高め

地面に引っ掛かりやすくする役割

 

【鱗】が無いという事は、上記に記した

機能を損失しているとも取れます。

 

しかし、これはあくまで自然環境での危険であり

ペットとして飼育している場合は

温度や湿度、餌の確保や外敵からの危険は

自然環境下よりも蛇にとって良い状態で

生活できるはずです。

 

「勿論、適切な環境設備を整えて

常に異変などに気づける事が最低条件」

 

適切な飼育条件で飼育されている場合は

外部からの影響から保護する必要が無いので

【鱗】が無くても

体温調節には大きな影響はなく

薄明薄暮で夜行性である事から

光や紫外線からの保護も必要ありません。

 

もし、Scalelessを飼育したいと考えている方は

他のBallpythonと同じ飼育環境よりも

更にScalelessに危険が及ばさ無いように

工夫を凝らして飼育していく事が求められます。

 

例えば床材はハスクチップではなく

ペットシーツにする事や

水入れは角が鋭利な仕様になっていない

容器を使う事などをお勧めします。

 

また、Scalelessは他のBallpythonに比べて

脱皮の周期がものすごく早いです。

その為、蛇の体内水分量を常に満たしてあげる

工夫や高湿度を維持する事なども求められます。

 

脱皮不全を起こしてそれに気づかず

時間がたってしまうと他のBallpythonに

比べて落ちる可能性が凄く高いです。

 

なのでもしScalelessを飼育したいと

考えている方はこれらの事をよく考えてから

迎えることをお勧めします。

 

Scalelessは当初共優性か劣性なのかという

議論が行われていました。

現在は共優性という認識が一般的で

自分もその認識が正しいと思います。

 

理由はScaleless Head

しっかりと目に見える特徴が出てくる為です。

 

 

↑Scaleless Head

 

名前の通り頭頂部の【鱗】が無いのが特徴です。

頭頂部以外の【鱗】は全部あります。

Scaleless Head同士を掛け合わせると1/4の

確率でScalelessが誕生します。

また、様々な呼び方があり

Microscale head等の呼び方もあるそうです。

 

一番最初にScaleless

出現したのは2004年で、

GhanaのBasil が孵化させました。

その個体は最終的にAmericaのBreederに

売却されることとなりますが、

Basil はこの弱弱しい見た目のScaleless

しっかり飼育してくれると思い、託しました。

 

そして、Scalelessの存在は

瞬く間に広がっていき大きなブームとなります。

 

ですが、噂と欲しがった人がとても多く

このScalelessの卵は生まれる前から

売却されるまでの人気でしたが

その後の結果はあまり良くなく、

子孫を残し続ける事が出来ず、

AfricaでもAmericaでも

飼育しているという情報は二度と聞くことは

無かったそうです。

 

そして時は過ぎ2011年、Brian Barczyk 

Africaから二匹のScaleless Headを入手し

2013年にこの二匹を交配させます。

そして結果的にScalelessを誕生させることに

成功しBallpython業界に大きなニュースを

届ける事となります。

 

その後2016年にMike Wilbanks の手によって再び

誕生するまでに多く時間がかかりました。

それにはScalelessが共優性である為と

交配させるためには

体のサイズと性成熟が関係しているからです。

 

Scalelessを誕生させるにはこの遺伝子を

持った健康な生体を揃える必要があります。

これらを揃えられるBreederが限られているのも

時間がかかった原因でもありますが、

Scalelessの♀はAdultになる前に

死んでしまうことがほとんどだそう

中々思う様に繁殖が進まなかった為です。

 

確かにScalelessのBabyは日本でも市場に

出回っていますがAdultの情報や画像を見たことは

ほとんどありません。

 

 

↑Scaleless

 

自分が知っている限りこの画像の子が

Scalelessの中で一番大きい個体です。

 

やはり、【鱗】が無いことで成長過程で問題が

出てきてしまうのか、それとも遺伝子に何らかの

欠陥があり途中で亡くなってしまうのか、、、

 

生体の体が大きくなってくると共に

餌のサイズも大きくなっていきますが、

そうなった際に大きい餌を締め上げると

自分の皮膚が傷ついてしまうことが原因で

負傷して弱っていってしまうのでは

ないかという考えもあるそうです。

 

確かにそれも考えられる要因だと思います。

もし餌のサイズが大きくなって負担が

大きくなってきたと思ったら小さい餌を食いつかせて

チェーンフィーディングで大きい餌を

食べさせてあげた方が良いかもしれません。

 

この様にScalelessの飼育は

難しいといった内容を書いてきましたが

ペットとしてはやはり魅力的な存在だと思っています。

カッコいいというよりは可愛い色合いに

なる事が多く顔つきも独特な表情になります。

中にはScalelessの顔が苦手な方もいますが

自分は割と好きですんなり受け入れられました。

 

2022年現在ではそれなりに

繁殖も進んでいき、様々なComboが作出されています。

日本でもScalelessの繁殖に成功されている方が

いますのでもっと一般的なMorphになると共に

更に追及された飼育法が確立されることを

願っています。

 

δ7Ballpython

 

画像引用 WOB