悲しみと愛しみに在り

沈黙に音なき声を聴く


何者も侵しえない聖域

私のみに展かれる意味


彼方に逝きまた同時に

此処に生き続ける生命


心の内奥を澄ますとき

感受しうる形なき言葉


如何なる者も介さずに

貴方は私の訪れを待つ



ーーー

“…死者を信じている、死者は
敬わねばならないという人たちが、
いつも死者への誠実を
尽くしているとも限らない。

死者を「代弁する」かのような
口ぶりで語る行為が
昨今では散見されるようになった。

死者のコトバが沈黙であることを
私たちは忘れてはならないのだろう。
沈黙はつねに
言語を超えたはたらきを持つ。”

若松英輔


“死は言葉を喪うことではない。
沈黙というまったき言葉で
話せるようになる、ということだ。”

長田弘