まるでゆめのように
つかみとれないまま
なんどもおもいだす
むかしのきおくたち


そのときのわたしが
かかえているらしい
わたしたちのなかの
いろいろなおもいで


いちどにみんなして
つぎつぎみせないで
ゆっくりひとりずつ
じゅんばんにみせて


なにをかんじたのか
なにをいいたいのか
きおくをたどるのは
いまのわたしなのか



ーーー

“ことごとくか無かではないのだ。

ことごとくが無だと思う、

ささやかな、個人的な記憶がなければ。”


長田弘