デリバリー
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2008/11/09

『ただいま…』

『愛斗、おかえり~優樹ゎ一緒ぢゃないの?』

『うん…』

お姉ちゃんが二階からパタパタと降りてきた。

『お姉ちゃん大丈夫?』

愛悟も降りてきた。

『愛斗、ご飯食べてなぃでしょ?ご飯食べなよ!!
パパも早く!!』

『愛華、ママゎ…?』

『部屋にいるけど…』

『パパちょっとママと話してくるから、愛斗ゎご飯食べてなさい。』



ママに会ぅのがィャだった。怖かった。
お姉ちゃんが気を使ってるのもなんだか辛かった。

『愛斗、帰ったの?』

『あ…
ただいま…』

『救急車で運ばれたってどういうつもりなの?恥ずかしい。』

『ごめんなさい…』

『おい!!話すって言っただろ!!』

『あたしはあなたのために…』



また始まった。いつもそうだ。
あたしはパパのために、愛斗のために…
なにがあたしのため…?

『もういい!!』

あたしはたまらず部屋に向かおうとした。

『愛斗!!』

ママがあたしを呼んだその時、



バシっ!!



目がチカチカした…
おもいっきり顔を殴られた…

『どうして…
どうしてあたしばっかりなの!?』

『あんたばっかぢゃないんだよ!!お姉ちゃんも愛悟もそうなんだよ!!』

『お姉ちゃんも愛悟も殴らないぢゃん!!』

『愛斗、部屋に行きなさい!!』

パパがそう言ってあたしを部屋に上げた。



上から見たら、お姉ちゃんも愛悟も呆然としていた。

初めて見る光景に動けなくなっていた。
パパゎヒステリーを起こしているママを落ち着かせようとしていた。

『愛華も愛悟も部屋に行きなさい。』



優樹…
優樹助けて…


苦しい。
苦しいよ。

携帯を取り出そうとしたそのとき


ピリリリリ


携帯にゎ

優樹

の文字。

『愛斗?大丈夫か?』



優樹ゎいつでもあたしの見方だった。いつでもあたしのそばにいてくれた。あたしが辛いとき、あたしが優樹のこと考ぇるとき。

すぐに現れてくれた。

『優樹…』

『愛斗?』


どうしてあたしはまだ12歳なんだろう。
どうしてまだ中学一年生なんだろう。
大好きな人の側に24時間居られないんだろう。

涙が止まらなくて、何度も何度も優樹の名前を呼んだ

優樹は

『うんうん』

てずっと言ってた。何も言わなくてもわかってくれた。



『落ち着いた?』

『うん…』

『愛斗、俺はまだまだ愛斗のこと全てをわかってあげられない。でも、愛斗が困ったとき、辛いとき俺は愛斗のそばにいるから…』

『優樹…ありがと。』

『話したくないことは話さなくていい。ね。』

『うん…』

『明日ちゃんと病院行けよ!!』

『うん、わかってるって!!』

『ぢゃあまた明日な!!』

『うん。
あっ!!優樹、あの…』

『どした?』

『学校では、今まで通りでいて。』

『愛斗、俺がお前を守るし、誰にも文句言わせない。だから堂々としてろ!!』

『わかった…』

『よし!!ぢゃあな。なんかあったら真夜中でも朝でも電話してこいよ。』

『はい。』



涙も乾いてベッドに寝転んだ。
大好きな優樹のことを考えて眠りたかった。


トントン


『愛斗、寝たの?』

お姉ちゃんが部屋にきた。

『起きてるよ。』

『ちょっといい?』

『うん、いいよ。』

あたしは部屋の鍵を開けた。お姉ちゃんが入ってきた。


『あたし、実は愛斗にも話してないことがあってね』

お姉ちゃんがいきなり切り出してきた。

2人の娘と1 人息子

娘ゎどうなってしまうのだろう。

家の中で虐待?

愛斗に一体なにが起きているんだ。。



『あ、パパ!!』

『愛斗…』

『先生なんだって?』

『いや、明日の朝もう一回来てくれって。パパ一緒に来るから。』

『そぉなんだ…』

下をうつむく娘がいる。
いつからこんなに寂し気な表情になっていたんだ?

家の中で何が起きているんだ。

聞くに聞けない。

父親として精一杯やってきたつもりだが…

『あの!!』

『え?』

愛斗の彼氏の優樹くんがいきなり声を出した。

『俺こんな身なりで先生に目つけられてて、それでも犯罪は全くしてなくて。これからも愛斗さんを支えていきます!!だから俺と愛斗さんのこと認めて下さい!!』

愛斗を見た。
口がポカーンとあいている。

私も口が開いていた。

『優樹…何言ってるの?』

『俺は真剣だからさ、愛斗にも愛斗のお父さんにもわかってもらいたいんだ!!』

ケタケタと愛斗が笑う。
私は愛斗の笑う顔をいつから見てなかったんだろう。

考えても思い出せない。

優樹くんといれば愛斗は幸せなのか…
それならそれでもいいだろう。

『愛斗をよろしくお願いします。』

『はい!!』


わーい!!と飛び上がって喜ぶ優樹くんを見つめる愛斗は幸せそうだった。
愛斗は家でこんな表情出さないのか?



『とにかく、家に帰ろう。』



愛斗はまた元の顔に戻ってしまった。


愛華もそうなのか?
愛悟もそうなのか?

3人共に同じ環境で育てたはずなのに。
母親は一体何をしているんだ?



私はますますわからなくなってしまった…

愛斗だけがなぜ?

2008/11/05

『愛華!!愛斗!!』

『あ、パパ!!』

『愛斗…大丈夫なのか?』

『大丈夫だよ♪』

『愛華と篤史くん、もう大丈夫だから。家帰んなさい。』

パパは優樹をじっと見た。優樹は固まっていた。

『きみは…?』

『榎本優樹です!!』

『榎本くん?篤史の友達?』

『パパ、愛斗の彼氏だよ!!』

『………………。』

3人で息を飲んだ。

『愛斗の?』

『俺らの後輩なんすよ。』

『え?いつから?』

『今さっき…』

『あっ、ああ、ぢゃあ優樹くん、きみも送るからちょっと待ってなさい。パパ先生と話してくるから。』



パパは先生のとこに行った。

『はぁー緊張した!!』

『お父さんいい人だから。』

『うん…』

一瞬だけどお姉ちゃん達の言葉に疑問を感じた。なんか違和感があったんだ。

『ぢゃあ俺たち行くから。』

『愛斗、後でね。』

『篤史くん、お姉ちゃんありがとう!!』







その頃…
パパは先生とこんな話をしていたらしい。

『愛斗さんは、鬱病ですね。おそらく、今に始まったことではないと思います。心の成長も、とまったまま。もっと見てほしい。もっとかまってほしいという願望が強すぎて…。リストカットをしたり、なにかしらしていると思うのですが…。自分からは決して言わないで、恐らく自分をとても痛めつけていると思います。不自然なところにある傷、お父様はわかりましたか?虐待も受けているみたいですね。』

『愛斗が…鬱病…?虐待?』

『今日一緒にいた男の子、きっと彼女の支えになると思います。愛斗さんの話を聞く限り、ご両親に心開くことはないでしょう。』

『愛斗は。そんなに追い詰めていたんですか?一体なにを?』

『それはまだ愛斗さんに聞かないとわかりません。ただ愛斗さんはお母様に対してなにかしらあるということしか…』

『それは?』

『愛斗さんが倒れたとき、一緒にいた男の子に聞いたんですが、家族の話をしたら急に過呼吸になったと言います。そしてわたしが質問したとき、お母様のことを話したら、また発作が起きました。意識を失うほどの過呼吸です。』

『そうですか…』

『失礼ですが、夫婦で話す時間はありますか?』

『いえ…』

『愛斗さんの心だけが疲れてるみたいですね。』






『愛斗、二年のやつになにされたの?俺二年のやつに言うし、俺がいつも愛斗のそばにいるよ。』

『いいの!!もう、いいよ。きっと先輩のことがすごく好きなんだね。それに先輩卒業したらどっちにしろあたしは1人になっちゃうから…』

『愛斗…。ぢゃあなんかあったらすぐ言えよ!!それと…』

『なあに?』

『先輩はやめろ!!』

『優樹…』

『いい!!マジいいわ!!』

『先輩…大げさだよ…』



あたし達はまだ始まったばかりだった。なにもかもが新鮮で、優樹を想うと胸が温かくなって。

これが恋なんだ

って思った。優樹が好きなんだ。きっと優樹ぢゃなかったら、こんなに心開かないだろう。優樹ぢゃなかったら恋しなかっただろう。


優樹だから…


こんなに笑顔になれるんだろう。いつからこんなに笑わなくなってたんだろう。優樹といると笑顔になりすぎて、顔が痛いよ。ずっと前から使ってなかった笑顔の筋肉が、優樹といると使えるんだね。

『愛斗、ずっと笑ってて』

『うん…』

『俺もさ、初めてなんだよ。彼女が出来たの。』

『ええっ??』

『いや、何その反応は…』

『だってモテモテなんですよね?』

『そうかな…?俺は愛斗がいればいいんだ!!』

優樹は軽く言うけど、その言葉は重たかった。優樹の言葉ひとつひとつに救われるんだよ…

『愛斗…大丈夫か?家帰ったらまたなんかあるんぢゃ…』

『大丈夫だって!!』

『そっか…』

本当は帰りたくなかった。1人でいたかった。優樹とずっといたかった。でも帰るとこは家しかない。



早く結婚して家を出たい。