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まるさんちのあにまるず 1

ある日、家に帰ると玄関前に1匹の黒猫がいた。
私の帰りを待っていたかのように起き上がり「みゃー(お帰り)」と鳴いて足元に寄り添ってきた。
「君、どこの子?ここは私の家だよ?お家に帰りな?」帰る家などなさそうだったが、そう猫に諭して玄関扉を開けた。
「みゃー(どうも、ここが私の家なのよね)」と鳴きながら、家の中に入ってきた。
「君、勝手に入ってきちゃ困るよー」と黒猫を外に出して扉を閉めた。
しばらく扉の前で「みゃー(あのー、開けてください)」と鳴いているのが聞こえたが、聞こえないふりをした。
翌朝、そろりと扉を開けてみる。黒猫は玄関前で夜を明かしたようだった。「みゃー(あ、出勤ですか?)」と鳴きながら起き上がった。
気にはなったけれど、見て見ぬふりをして職場へ向かった。
仕事中、あの黒猫のことが気になった。まだ子供だったな。どこから来たのだろう。なぜ我が家の前にいるのだろう。痩せていたな。ご飯はいつから食べていないのだろうか。前足、引きずっていたな。ケガの状態はどれ程なんだろう。
定時で帰宅。遠目で玄関前に黒い物体を確認。いる。まだいる。そして昨日と同じ行動を繰り返した。翌日もその次の日も...。
黒猫が玄関前に現れて1週間がたとうとしていた。この日は台風の影響で大雨警報が出ていた。朝はまだ小降りだった雨も、仕事が終わる頃には地面を叩きつけるような雨へと変わっていた。黒猫のことが心配になった。1週間見て見ぬふりを続けてきたが、内心は心配で仕方ない。飼えるものなら飼ってあげたい。だけど、実はすでに保護した猫が1匹家にいる。まだ多頭飼いをする決心がつかないでいた。中途半端な優しさは野良にとっては逆に残酷なのだ。だから私は心を鬼にしていたんだ。だけど、この雨の中、車に引かれているあの黒猫を発見してしまったら...。もし、近所で力尽きているあの黒猫を発見してしまったら...。助けることのできたはずの命を、私は見て見ぬふりをして見捨ててしまったと後悔するだろう。
定時で帰宅。玄関前に黒い物体を遠目で確認。ほっとした。大雨の中、玄関前で丸くなっている。元気かどうか早く確かめたい。雨の中、びしょびしょになりながら走って帰った。
足音に気づいて「みゃー(あ、お帰りなさい)」と鳴きながら起き上がった。黒猫もまた、雨に濡れてびしょびしょだ。「暖かいお風呂に入って、ご飯食べようか。」と玄関扉を開けると、「みゃー(あ、どうも、先に入りまーす)」と家の中に入っていった。
これが黒猫、ねるさんとの出会い。