1996年。

オンボロのカリブというワゴン車で海へ向かっていた。


全てが適当で、誰も時計すら持っていない。

海に行くのに海パンも、バスタオルも持っていない。


だけど、ヴィダルサスーンのシャンプーだけは部屋から持ってきたんだ。







車内でこの曲が流れると大声で皆で歌った。

発音なんてメチャクチャで、歌詞の意味すりゃ解りはしない。


でも、この瞬間がきっと将来、俺達にとって宝物のようなものになるだろう、とは感じていた。





俺はレモンサワーを。
お前はライムサワーを。

思っていたよりも人気がない海辺で飲んでいた。

あの夏とレモン。

あの海辺とレモン。

お前のライム風味の嘔吐(笑)





だから、俺は今だにレモンサワーが好きなんだと思う。