1972年リリース。
本盤は初期ジェネシスの最高傑作との呼び声が高いですが、全ロックアルバムの中でも傑作に入れて差し支えない素晴らしいアルバムです。
詞、曲、アレンジ、パフォーマンス。
いずれも素晴らしく、プログレッシヴロックでありながら演劇的でもあります。
それはピーター・ガブリエルに依るところが大きいです。
彼は様々な声色で登場するそれぞれの役をこなし、聴く者をストーリーに引きずり込みます。
圧巻は20分越えの7編からなる組曲『super's ready』。
ダブルボーカルを使って『奇っ怪さ』(左から聞こえるガブリエルのボーカルはかなり気色悪い)を演出したかと思えば、歌詞はキリスト教に潜む不気味さを表しています。
またこの曲の演奏も素晴らしく、複雑なリズムを刻むフィル・コリンズや、絶妙なオブリガードを決めるマイケル・ラザフォード。メロトロンで『憂い』を誘うトニー・バンクス。
極めつけは8分6秒から始まるスティーヴ・ハケットのタッピングで、時代を考えたらただただ唖然とさせられます。
当然他の曲も力作ですが、この組曲のインパクトは39年経った今も全く薄れていません。