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【公安調査庁 Public security intelligence Agency】

 

法務省に属する情報機関として、昭和27年(1952年)に設置されたのが公安調査庁(こうあんちょうさちょう)である。

 

 

同年施行された「破壊活動防止法」や平成11年、オウム真理教による地下鉄サリン事件を受けて制定された「無差別大量殺人行為を行った団体の規則に関する法律」(団体規制法、いわゆるオウム新法)に基づき、組織として暴力主義的な破壊活動を行う危険性の高い団体の調査を行う。

 

 

そして規制の必要がある場合は、公安審査委員会に対してその団体の活動制限や処分、解散指定の請求を行い、観察処分が下された団体に対して立ち入り検査も行う。公安調査庁HPでは、オウム真理教関連施設への立ち入り検査を行ったという報告が広報のページに多数記載されている。

 

刑法に基づいて「個人」の犯罪を取り締まる警察とは違い、「団体」を調査し必要に応じて処分請求できるのが特徴である。

 

同じ公安と名がつくためか、公安調査庁と警察の公安部、公安課を混同している人もいるようだ。(以前、公安調査庁のツイッターのフォロワーやツイートをRTしている方のプロフィールを観てみるとコナン好きな方が何名かおり、「赤×安」というワードも散見されることから導き出された筆者による冷静な分析によるものである(笑) )しかし、これらは全くの別物である。

 

 

公安調査庁は捜査機関ではなく、破壊活動防止法や団体規制法の該当団体を監視、調査し、団体規制を請求する、言ってみれば規制団体として発足した。職員は混同をさけるためか、「公調」と略して呼んでいるようだ。

日本のCIAとか政府の汚れ仕事を担当する闇の組織であるかのように言われることもあるが、それは買いかぶりすぎというものだろう。そもそも逮捕権すら持っていない

 

しかも、一度も破壊活動防止法に基づいての団体の活動規制を実行することはなかった。オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こした際でさえも、公安調査庁はオウム真理教に破壊活動防止法の適用を公安審査委員会に請求するも棄却され平成11年に団体規制法を新たに制定するしかなかった。

 

もちろん公安調査庁が職務怠慢であったわけではなく憲法に定める集会、結社の自由との兼ね合いなど、いろいろな事情があったためだが、、団体規制ができなかったために公安調査庁の存在を疑問視する声が上がり、「規制団体」から公共の安全に対する脅威となる団体や国の情報を収集する「情報機関」としての立場に移行してゆくことで組織の立て直しを図った、という経緯がある。

 

公安調査庁は創設時英語名をPublic security investigation Agency (頭文字をとってPSIA)とうたっていたが、Iがinvestigation(調査・捜査。米国FBIのIもinvestigationの頭文字である)から後にintelligence(国家首脳が国を動かす意思決定をするための、分析・精査された重要情報。またそれを収集し分析するプロセスのこと)に変更されたことからもうかがい知れる。

 

トップは長官、その下は次長と呼ばれ、検察庁から一時的に出向してくる検事がそれらをはじめ主要なポストにつく。そういう点は、いかにも法務省の傘下組織らしいといえよう。同じ法務省傘下にある入国管理局とも関係が深いと言われている。  続く

 

 

文献リスト

公安調査庁HP http://www.moj.go.jp/psia/

同2017年パンフレット http://www.moj.go.jp/content/001180543.pdf

野田敬生 『公安調査庁の深層』2008 筑摩書房

同    『諜報機関に騙されるな!』2007 ちくま新書

黒井文太郎『日本の情報機関 知られざる対外インテリジェンスの全貌』2007 講談社

青山智樹ほか 『組織と手口を明らかにする!世界の諜報機関』2013 宝島社

 

 

筆者は専門家ではない。一サラリーマンが、趣味で書籍や新聞記事、官公庁HPなどを参考にしながら自分の見解も交えつつ執筆している。そのため、間違いなどがあるかもしれない。その場合は論拠となる情報源とともに指摘していただければ幸いである。必要があると判断した場合、機会を見つけおわびして訂正させていただく所存である。なお、この内容は筆者が所属するいかなる組織、団体の見解も代表するものではない。