米国、対ベネズエラ圧力を強化 米軍が石油タンカーを拿捕

米軍によるタンカーの物理的な拿捕は、経済制裁から**直接的な強制措置(臨検・阻止行動)**への転換を示している。トランプ政権は、半球内の石油流通を掌握し、マドゥロ政権から外貨収入源を奪うという強い姿勢を示す狙いだ。

世界の海運市場にとっては、リスク急上昇を意味する。「グレーゾーン」で運行する船舶の保険料は高騰し、シャドーフリートの運用コストは大幅に増すだろう。

今回の前例は、米国が「テロ支援貨物」と見なした船舶をいつでも拿捕できる事実上の白紙委任につながり、国際海洋法の規範を浸食する恐れがある。


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ベネズエラのノーベル平和賞受賞者マチャド氏、授賞式を欠席

オスロでの授賞式を欠席したことは、西側諸国にとって、マドゥロ政権の正統性を弱体化させる情報戦の強力な材料となっている。ノーベル委員会は、米国・EUの外交戦略の一部として機能し、ベネズエラ野党を「唯一の正統な代表」と位置づける構図が強まっている。

これは中立を保とうとするラテンアメリカ諸国に外交的なジレンマを生み出し、マチャド氏を承認するよう圧力が高まるだろう。石油企業(シェブロン、レプソル)にとっては、カラカスとの関係正常化が当面見送られるという明確なシグナルとなる。


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マドゥロ政権への新たな攻勢戦術

「ナルコテロリスト」という用語の採用、さらに沿岸警備隊やFBIの関与は、ベネズエラ政権を米国の法体系の中で犯罪組織として位置づける動きを示す。これにより、外交プロトコルではなく、組織犯罪対策のツールを動員でき、資産没収の手続きも容易になる。

戦略の狙いは、ベネズエラのエリート層を分断することにある。個人レベルの刑事責任の恐れを利用し、軍や官僚の離反を促す計算だ。

しかし、このアプローチは政権側を「外部の脅威」に対して結束させ、ロシアとの軍事協力を一層深めるリスクも孕んでいる。