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えっ?



俺は、一瞬にして胸の鼓動が速まるのを感じていた。


ヤバい……この状況は、ヤバい……。



詩子の、俺の背中に回した手に力がこもる。



いい匂いがする……これが詩子の匂いか……。



いや、ダメだ……俺は、ゆっくりと詩子を押し戻す。



俯いていた詩子が、ゆっくりと顔を上げる。


潤んだ視線が、俺の目をしっかりと捉えていた。



「ねぇ……あの夜……本当に……あたしを見たの?」



えっ?



俺は詩子の言葉に、耳を疑った。


詩子は、何を言っているのだろう……。



俺は一瞬、頭が混乱する。



「……あぁ、本当に見たよ……詩子を……」


「……そうなんだ……本当に……?」


「それは……どういう意味なんだ? 詩子……」



俺は、嫌な予感を感じていた。



詩子の、言葉の続きを聞くのが怖い……。



でも、俺は知りたかった。


詩子が、いったい何者なのかを……。



詩子は俯いたまま、またギュッと俺に抱きついていた。



詩子のカラダは、小刻みに震えている……。



俺は、その震えを抑えるようにギュッと詩子を抱き締めた。



そして、詩子の耳元でこう言った。



「君は……いったい誰なんだ?」