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詩子を抱き締めてしまったのは……そんな胸騒ぎを感じたせいなのかもしれない。
俺は、詩子の腰に回した腕にギュッと力を入れる。
「あっ……」
詩子の漏らしたそんな声に、俺は何故か癒されていた。
絢音を失った寂しさを紛らわせている訳じゃない。
俺は心のなかで、そう呟きながら詩子を抱き締めていた。
「ありがとう……嬉しいよ、創さん……」
詩子は、俺の耳元でそう囁く。
力を込めた手を緩めて、俺は詩子のキレイな顔を見る。
詩子は泣き笑いのような表情で、俺の目を見つめていた。
俺は詩子の瞳に吸い込まれるように、ゆっくりと詩子に口づける。
詩子は、ゆっくりと瞳を閉じて俺の舌に優しく応えてた。
「あのね、創さん……あたし……創さんに話さなきゃいけないことがあるの……」
詩子の真剣な表情に、俺の胸は少しだけ痛くなる。
俺は、感が良い男だ。
これから詩子が話すことが、良い話だなんて思えなかった。
それは、詩子に逢う前から感じていたことだ。
でも……俺は、また詩子に逢いに来た。
そう、それは……詩子に逢いたかったからに間違いはない。
今の俺には、詩子しかしなかった。
絢音を失った、今は……。
そして、詩子がゆっくりと口を開く。
「創さん、あのね……」