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「……先生、どうなんでしょう?彼女は……」
病院に運ばれた彼女は、幸いにも一命を取り留めた。
だけど……。
「……かなり酷い損傷を、頭部に負っています。今後のことは、まだ……」
いろいろなチューブやケーブルが繋がった彼女の手に、そっと触れる。
人工呼吸器のエアー音と。
無機質なパルス音だけが響くICUの中で。
ぼくは。
これは夢に違いない、と思いたかった。
でも。
これは、間違いなく現実だった。
ぼくは、膝を抱えながら。
これから、一体どうすれば良いのかと考え続けていた。
そして、ぼくは思えたんだ。
彼女は、決して居なくなった訳じゃない。
居なくなったんじゃないんだ!
そして、ぼくはICUを飛び出して。
カメラを買いに走った。
ぼくは。
最新式のデジタル一眼レフのカメラを買った。
レンズ類も、ジュラルミンのケースも、一式……。
ぼくは、あの時の彼女が言った言葉を。
もう一度、思い出していた。
「うん?……そうねぇ、そう!思いっきりの笑顔の写真が撮りたいな!」
ぼくは、あの時の彼女以上の笑顔を。
絶対に探したい、と思ったんだ。
ぼくと。
彼女の未来のために……。