あれは、中2の夏休みの出来事でした。
私は、一人で叔母が住んでいる家に泊まりにいきました。
叔母の家は、海がとても見える岸の近くに建っています。
叔母に会うのは、2年ぶりでした。
『ようきたねー。疲れたでしょゆっくりしていきなさい』と叔母は、一人で来た私を温かく迎えてくれました。
私は、叔母に会えてとてもうれしい気持ちでいっぱいでした。
これから楽しい夏休みが叔母と過ごせると思っていました。
あの出来事がなければ・・・・・
私は、叔母に畳4畳ほどの小さい部屋を使わせてもらいました。
『ごめんなさいね。この部屋しか今使えなくって』と叔母は申し訳なさそうな顔で言いました。
私は、部屋から見える海を見ようと窓に近寄りました。
するとあることにきずきました。
それは、窓にガムテープが、貼ってあり開けることができないようになっていました。
ガムテープを剥がして窓を開けようとする私を見た叔母はいきなり
『その窓は開けてはいかん』
私は、ビックリして叔母のほうに顔を向けました。
そこには、目を大きく開き呼吸が荒くなっている叔母の顔がありました。
『はっ』と叔母は我に変わり少し落ち着いてから言いました。
『その窓はけっして、開けないでほしい』
『なぜ、開けてはいけないの?』と私が訪ねると、
叔母は、少しとまどってから答えてくれました。
『そこから虫が入ってくるから閉めといて欲しいからなの』
私は、叔母がウソをついているとわかっていましたが、叔母の顔は何かに怯えていてその表情には生気が感じられませんでした。
私は、窓のことはこれ以上訪ねることはしませんでした。
その夜、
『おやすみなさい』と私は、叔母に言ってから部屋に戻りました。
部屋はとても蒸し暑くなっていて、とても眠れるような状態ではありませんでした。
私は、暑さにたいきれず窓を開けてしまいました。
暗くって海は見えませんでしたが部屋に涼しい風が入ってきました。
私は、叔母の言っていたことはそのときはすっかり忘れていました。
思い出したのは、3時間くらい寝てからでしょうか私は、思い出して窓を閉めようと窓に駆け寄りました。
私は、窓の外の光景を見て目を疑いました。
そこには・・・・・・
白い着物を着た人が何人か海から上がってきているのです。
その中のおじいさんと目が合いました。
その男の人は、冷たい目で私を見ていました。
私は、恐怖のあまりその場から動くことができませんでした。
おじいさんは、私の方へ歩き出したかと思うともうスピードで私のところまで走ってきました。
私は、我に変わりすぐさま窓を閉めようと思いましたが、おじいさんの方が早く
私の右腕を強く掴みました。
『私にーついてーこーい』とおじいさんは何度も言ってきます。
『キャーーーーーーー』
私は恐怖のあまり叫んでしまいました。
私の叫びにきずいてほかの人達も私に歩み寄ってきます。
そのとき、私の悲鳴にきずいた叔母が、来てくれました。
叔母はすぐさまおじいさんの腕ごと窓を思いっきり閉めました。
おじいさんは、痛さのあまり悲鳴を上げました。
私はいきなりおじいさんから離れられたので、その拍子に頭を打ってしまい気を失ってしまいました。
あれから何時間過ぎたでしょう目が覚めたときには傍に叔母がいってくれました。夢だったのかと疑いましたが、右腕を見て現実だったことがわかりました。
その腕には、はっきりと赤くなった手跡が残っていました。
これは後から叔母に聞いたのですが、夏のお盆の日は、死んだ人が、海から帰ってくるんだと教えてくれました。
もうあの体験はしたくありません・・・・・・・・
おわり