新聞の集金のアルバイトをしていた時のこと。
大きな土手の下に3階建ての1軒屋があった。そこへ集金に行くと、30歳ぐらいの長身の男性が代金を支払ってくれた。
表札を見ると、苗字の違う8人の名前が書かれている。
赤の他人どうしが1軒屋を借りて暮らしているのだろうか?いつも不思議に思っていた。
平日の午前中、集金に伺っても、その男性は家に居て新聞代金を支払ってくれた。
夕方土手の上をサイクリングしている男性を見掛けたこともある。
その男性には定職に就いている雰囲気がなかった。
ある夜、集金に伺うと、珍しく男性は留守で、中から40歳前後の女性が出てきた。
「たけしが取っている新聞ね、わたしが立て替えます」と言って快く支払ってくれた。
男性を下の名前で呼ぶということは、二人は親しい間柄なのだろう。
8名の擬似家族、未だにどういう共同体だったのかが分からない。
山田さん宅へ初めて集金に伺った時のこと。
山田さん宅は2階建ての1軒屋だった。
玄関のチャイムを押すと、中からガラの悪そうなオヤジが出てきた。
「新聞の集金?うちは新聞なんか取ってねぇぞ」偉そうに言うオヤジ。
家を間違えたのかなと思い
「こちらは山田さんのお宅じゃないんですか?」質問をすると
「山田に間違いねぇけどな。新聞なんか取ってねぇよ、取ってねぇもん払えるか、帰れ帰れ」
終始喧嘩腰のオヤジに追い返されてしまった。
新聞店に戻ってそのことを店長に報告すると
「新聞を取ってるのは2階の人だから、2階用のチャイムで呼び出すんだよ」と教えてもらった。
再度訪問してよく見ると、玄関の隅に小さいチャイムがもう1つ設置されており、マジックで2F と書いてある。
そのチャイムを押すと、老婆が出てきて新聞代金を支払ってくれた。
それにしても、苗字が同じということは、2階の老夫婦は両親で、1階のヤクザオヤジは息子だろうがぁッ!(#`皿´)
擬似家族の真逆のバラバラ家族だなと思った。(´д`|||)


