これは20年程前の話です。
その頃私は主人とアパートに住んでいました。
ある日、子犬が突然迷い込んできて、あまりの可愛さに餌をたまに与えていました。
そして、餌を与えているうちに毎日のように私達が住んでいる部屋に来るようになりました。
段々と愛着も湧いてきて、こっそり家の中に入れて、よくじゃれて遊んでいました。
ところがある日突然来なくなりました。
寂しさを感じましたが、本当に可愛い子犬だったので「誰かに拾われ飼われたのだろう」「これでよかったんんだ」と思っていました。
ところがある日、突然また現れました。
その日、私が大家さんに家賃を払いに行こうとすると、以前よくいた場所にちょこんと座っているのです。
そして、大家さんの家まで着いてきて、じゃれついてくるのです。
しかし、アパートの中では飼えないので、また餌を与えて「飼えなくてごめんね」と言ってドアを閉めました。
凄く悲しそうな目で私を見ていたのを覚えています。
それをその日、主人に話すとその子犬は前日に家の近所の通りで車にひかれて亡くなっていたと言うのです。
最期に挨拶に来たのかもしれません…。
大家さんに子犬の事を何も言われなかったので、私にしか見えていなかったのかもしれません…