奈良の東大寺では修二会という行法が行われています。「お水取り」という呼び方と大きな松明が並ぶ映像が有名ではないかと思います。

1200年以上前から毎年毎年、1度たりとも途切れることなく続けられてきた、万民の幸福を祈る行事です。

僧侶の方々はどのようなご縁があって僧籍に入られたのかわかりませんが、心から人々の幸福を思ってその道を志し、人々の幸せを祈るために自分の人生を捧げるという選択は、簡単にできることではないように思います。

3月11日。今日は朝のニュースから3年前の震災のことでいっぱいでした。被災された方々は、早く故郷へ帰りたい、もう一度頑張って家を建てて暮らしたい、と。

自分は父方も母方も祖父母は東京近郊の団地暮らしだったし、自分自身もこれまでにあちこちと7回の引っ越しを繰り返し、集合住宅にしか住んだことがなくて、「故郷に帰りたい」という気持ちは実感としてはまったくわからないというのが本当のところです。

だからこそ、せめて被災された方が置かれている状況を、気持ちを想像する力が大切なんじゃないかな、と思います。もしも自分がその状況に置かれたら。そう考えたら、すべてを投げ打つことはできなくても、自分には何ができるのか、少しは見えてくるのではないかと思います。

さて。こちらは「萬々堂」という和菓子屋さんの「糊こぼし」という、お水取りの際にお堂に飾られる白い斑模様が入った椿の花を形どった上生菓子です。この季節限定のお菓子です。

奈良ではお水取りが終わると春が来ると言われています。早く暖かくなりますように。