こちらの記事は、ハロウィンの時期用に合わせて作った
グレートパンプキンの物語と写真でお送りしております。
『魔法の歌』 後編です。
前編がまだで、内容が気になる方は、先に↓こちらの記事をご覧下さい★
『魔法の歌』 前編になります。
それでは、『魔法の歌』 後編の始まりです。
悪い領主に捕らえられたコリンの運命は・・・?
コリン 『本当は怖いよ、パパ、ママ、私・・・どうなるの?』
その時、窓からマントを羽織った少年が入って来ました。小脇には大きな宝石。
少年 「詳しい話は後だ、助けに来た!」
コリン 「あなたはいったい・・・」
少年は手際良く檻の鍵を外し、コリンを外に出してくれました。
コリン 「もしかして、外で騒ぎを起こしていたのは あなたなの?」
その時、領主がブツブツと愚痴をつぶやきながら部屋に戻って来ました。
領主 「門兵が勝手に差し入れを食べるとは・・・余程うまそうな菓子だったのか。」
二人に気がついた領主。
領主 「お前は・・・!怪盗パンプキン!」
少年 「この子は俺が頂いた!」
領主 「おのれ・・・!お前もこの娘が目的だったのか!!」
領主は部屋に飾ってあった剣を手にし、パンプキンに切りかかろうとしましたが
パンプキンは、カボチャのクラッカーを弾けさせ、領主がひるんだ隙に
コリンを連れてその場から姿を消しました。
領主 「ワシの、ワシの『聖なるカボチャ頭一族の娘』がーーー!」
スマキになった領主が衛兵に発見されたのが遅かった為、
少年とコリンは人目を上手に避け、街外れに逃れる事が出来ました。
怪盗パンプキン 「ここまで来れば簡単には見つからないだろう。」
コリン 「あ、あの怪盗さん!・・・あなたも私の歌が目的なの?」
怪盗パンプキン 「その辺りのコソドロと一緒にすんな!俺は困ってる奴からは盗みゃしない。
盗るのは、悪い事をして私腹を肥やしてる奴からだけだ。」
コリンの言葉に、自分があの領主と同じ目的で近づいたのかと思われている事に気がついた少年は
気分を害しましたが、彼女の置かれている状況も察し、最後の方は語尾を柔らかくしていました。
コリン 「そうなんだ、安心したわ・・・」
怪盗パンプキン 「とにかく、これに懲りて、公衆の面前で歌うのはやめておく事だな。
お前だけじゃなくて、大切な人たちにも危害が及ぶ。」
コリン 「どういう事??」
怪盗パンプキン 「まだ気がつかないのか、おめでたい奴だな。お前を手に入れる為に
手段を選ばない奴らが、お前の身内をそのままにしておくと思うのか?」
コリン 「あ・・・!」
『両親がどうなっても知らんぞ』 コリンは領主の言葉を思い出しました。
怪盗パンプキン 「まぁ、そこは俺もぬかりは無いけどな。
先回りして、領主より先にお前の両親を安全な場所に移動させておいた。」
コリン 「本当!?ありがとう!パパとママは無事なのね!!」
二人の顔を思い浮かべると、安堵と共にコリンは胸が締め付けられるように苦しくなりました。
コリン 「私、自分の事、全然・・・しらなくて・・・ただ、パパとママの暮らしを・・・
楽にして・・・あげたくて・・・」
今まで両親がどんな思いで暮らしをしてきたのかがを理解したと同時に、
自分の取った行動で、父と母をも危険にさらしてしまったと言う
後悔の念も重なってコリンの目から涙が溢れました。
泣き出す少女を見て少年は慌てて
怪盗パンプキン 「 ま、まぁ、知らなかったんだから仕方ねぇじゃねぇか!
ほら、今から親の所に連れてってやるから!な?笑えよ。」
少年はそう言って自分のマントをコリンの肩にかけてくれました。
温かい・・・
一度に色んな事が起きて自分の気持ちに余裕が無かったコリンは
このぬくもりに気持ちが救われ、また涙が出て来るのを感じました。
コリン 「・・・・・・と・・・う・・・」
怪盗パンプキン 「?」
コリンの小さな呟きを聞き逃さないよう彼女の顔を覗き込んだ少年は
次の瞬間コリンに抱きしめられていました。
怪盗パンプキン 「・・・!?」
コリン 「ありがとう、ありがとう!あなたって、本当に素敵な怪盗さんだわ!」
少年はしばらくポケーっとしていましたが、慌ててコリンの腕を振り解きました。
怪盗パンプキン 「お、俺は別に、その・・・別にお前を助けようと思ったんじゃないからな!
宝石を盗むついでだったんだからな、つ・い・で !!」
顔を真っ赤にしながらしどろもどろに話す少年を見て、コリンはようやく笑む事ができました。
手際よく両親まで救ってくれていた彼の行動が、『ついで』では無い事くらい
鈍感なコリンにも理解が出来たからです。
トリート 「わぁー」
物語のような思い出話をおとなしく聞いていたトリートは、思わず声を上げました。
パンプキン(嫁) 「あの人はその時に盗んだ宝石を船に換えて、私達をもっと遠くへ逃がしてくれたの。」
トリート 「すごい、すごーい!」
パンプキン(嫁) 「でね、その後に続きがあって・・・」
トリート 「うんうん!」
パンプキン(嫁) 「その船の中に、あの人も乗ってたの」
トリート 「ぇーー!」
パンプキン(嫁) 「今回の騒動で、怪盗の仕事がしずらくなったから、
私達と一緒に移動するんだ!って。そうは言ってたけど、本当は私の事が好きになって
着いてきちゃったんじゃないかなぁって。うふふ。」
お嫁さんは当時を思い出して嬉しそうに笑いました。
トリート 「きっと、今の二人がその答えなのかな?
本当にパンプキンさんって言葉より行動で示すタイプだよね~!
って言うか、あの義賊で有名な怪盗パンプキンが旦那さんだったのに、僕は驚きだよー」
その時旦那さんが出来上がったばかりのお菓子を沢山持って入って来ました。
パンプキン(夫) 「新作が焼きあがったぞ~♪
・・・ん?おいおい、ちっとも飾りつけが進んでないじゃないか。」
旦那さんの手にあるお菓子を見たトリートは目を輝かせ、
トリート 「わははははー!僕は怪盗パンプキン!そのお菓子はもらったーー!!」
と、勢いよくパンプキンの手からお菓子を奪い、ほおばりながら店内をかけまわりました。
パンプキン(夫) 「こら!!トリート!まだ全然作業が終わってないだろ!
・・・ん?あいつ、怪盗パンプキンって言わなかったか!?、お前、まさかー!」
パンプキンは焦って奥さんを問いただそうとしましたが、
パンプキン(嫁) 「あら!あの子が泣いてるみたい。」
奥さんは、奥の部屋から聞こえた子供の泣き声に気がつき、
そそくさと その場からいなくなってしまいました。
パンプキン(夫) 「トリート!まてーーー!」
奪われたお菓子を取り戻そうとトリートを追いかける旦那さん。
その時、隣の部屋から泣いてる子供をあやす為に 奥さんが口ずさむ懐かしい歌が聞こえて来ました。
Happy Halloween ! Jack-o’-Lantern♪ カボチャのランタン目印に♪
いたずら子供が尋ねて来たら♪ お菓子をあげて もてなしましょう♪
Happy Halloween ! Jack-o’-Lantern♪ 怖い魔物が尋ねて来たら♪
カボチャのランタン火を灯せ♪ お化けは驚き 逃げていく♪
Trick or Treat? いたずらされるか♪ もてなしするか♪
Trick or Treat? いたずらされるか♪ もてなしするか♪
旦那さんは一瞬動きを止めて、その歌声に昔を懐かしみ目を細めて聞き入ろうとしたのですが、
奪った菓子を食べ終えたトリートが、残りのお菓子を狙っているのに気がついたので
それを制しながら、ちっとも進んでいないお店の飾り付けを急ぐのでした。
『魔法の歌』 後編 おわり。
素人の創作で解りにくい部分やお見苦しい点もあると思いますが
長々と、ここまでお読み頂き ありがとうございました。
また、お話の構成、修正にあたりアドバイス頂いた岩兵衛さんに感謝を!