一人誠凛の体育館コートに立ちつくす。
何をするわけもなくただ立っている。
もう一度彼に名前を呼んでもらいたい……
そう心でずっと思いながら……
ー ー ー ー ー ー
『テツっ!!』
青峰はそういうと黒子の肩に大きな腕を乗せた。
『重いです、青峰君。』
嫌がる素振りをする黒子だがその顔は笑っていた。
楽しそうな二人を見て顔が緩むキセキ達。
黒子はこの日常がずっと続くのだと思って疑わなかった。
でも、そんな楽しい日々は彼らにしかありえない形で崩れ去った。
『俺に勝てるのは俺だけだ。』
そう青峰が言ったとき黒子の中で壊れる音がした。
『青峰君……?』
彼らは才能がありすぎた。
だから普通ではありえない言葉をその全てを諦め切った口で言い放った。
その時青峰はもう黒子のアシストがなくても一人で青峰のバスケをしていた。
彼には黒子のバスケは必要なくなっていた。
もう黒子は青峰の影ではなかった。
そのことに薄々ではあるが気づいていた黒子は何も言えなかった。
ただ一人コートで汗と一緒に涙を流し、かつての相棒の圧倒的強さを見ることしかできなかった。
ー ー ー ー ー ー
あれから青峰の心に火を灯す選手は現れずそのまま高校へ進学してしまった。
キセキ達は全員違う高校へ行った。
『勝つことがすべて』の理念は変わらず彼らにあるのだろう。
こうなる原因であった彼らの才能などなかったらいいのに……
みんな帝光の補欠で全然バスケできなくて
でもバスケ好きで一生懸命で
大切な友達になれてたらよかったのに……!!
そう考えると涙が止まらなかった。
誰も居ない体育館に響く小さな声
その声は段々大きくなり
それとともに黒子の小さな顔はクシャクシャになっていった。
『青峰君、僕は、、君を……』
そこで黒子の肩に大きな腕が乗ってきた。
『泣くな。そんな顔してたら勝てる試合も勝てなくなるだろ!』
その時黒子の目からさらに涙が溢れてきた。
『お、おい!泣くなっつってんのに……!!』
そういうと彼は慌てて腕をどけようとした。
が、黒子は腕を強く握った。
『どけないでください、火神君。』
火神は黙って腕を戻した。
しばらくの沈黙後黒子はやっと泣き止んでいった。
『絶対青峰君たちの目を覚まさせましょう。』
火神は黙って頷いた。
黒子は目尻を赤くさせたまま笑って立ち上がった。