こないだ,
おっちゃんの遺言書のお話がありましたが,
今度はおばちゃんのご相談。
現在,ご夫婦で暮らしておられて,
息子さんと娘さんがいるのですが,
既に結婚して家を出てられるとか。
ほんで,ご自身たちも老後を考えるようになって,
どちらかが先に死んでしまったときに,
「全財産を○○に寄付する」
という旨の遺言書を自分たちなりに書いたそうです。
形式は,ご自身とご主人との連名にして,
自筆の署名と日付も書き入れたそうです。
ですが,おばちゃんが,ご友人にこの話をすると,
「遺言書は連名じゃだめだよ。無効かも。」
と言われたそうです。
さてさて。
まず,遺言書の形式ですが,
前回もお話した「自筆証書遺言」ですね。
自筆証書遺言は,公証人の先生とかの関与がないので,
保管も自分でされる場合が多いですし,
周りの人に内緒でする場合も多いです。
なので,民法では厳しい要件が定められています。
1.遺言者が,遺言の日付・署名を含めて全部を自分で書くこと。
2.遺言者が押印すること。
3.(訂正の方法・ここでは省略)
4.家庭裁判所での検認手続が必要なので,無断開封はダメ。
こんな要件があります。
では,
おばちゃんの場合。
おそらくご夫婦のどちらかが全文を書いて
それにそれぞれが一番下に連名・押印したと思われます。
とすると,
上記の1の要件がととのわないことになって,
無効になってしまいます。
民法上も,二人以上の人が同一の証書ではできません
と明記されています。
おばちゃんご夫婦が作成した遺言書は,
残念ながら,遺言書としてはなりたたないことになりますね。