涼の日々の気づき ~法律のお話を添えて

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私が日々で気付いたことをアップしていきます。
法律にちょっとだけ携わっているので
そんな話もちょっと添えて‥。(^^)

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こないだ,

おっちゃんの遺言書のお話がありましたが,

今度はおばちゃんのご相談。


現在,ご夫婦で暮らしておられて,

息子さんと娘さんがいるのですが,

既に結婚して家を出てられるとか。


ほんで,ご自身たちも老後を考えるようになって,

どちらかが先に死んでしまったときに,

「全財産を○○に寄付する」

という旨の遺言書を自分たちなりに書いたそうです。

形式は,ご自身とご主人との連名にして,

自筆の署名と日付も書き入れたそうです。


ですが,おばちゃんが,ご友人にこの話をすると,

「遺言書は連名じゃだめだよ。無効かも。」

と言われたそうです。


さてさて。


まず,遺言書の形式ですが,

前回もお話した「自筆証書遺言」ですね。


自筆証書遺言は,公証人の先生とかの関与がないので,

保管も自分でされる場合が多いですし,

周りの人に内緒でする場合も多いです。

なので,民法では厳しい要件が定められています。


1.遺言者が,遺言の日付・署名を含めて全部を自分で書くこと。

2.遺言者が押印すること。

3.(訂正の方法・ここでは省略)

4.家庭裁判所での検認手続が必要なので,無断開封はダメ。


こんな要件があります。


では,

おばちゃんの場合。


おそらくご夫婦のどちらかが全文を書いて

それにそれぞれが一番下に連名・押印したと思われます。

とすると,

上記の1の要件がととのわないことになって,

無効になってしまいます。

民法上も,二人以上の人が同一の証書ではできません

と明記されています。


おばちゃんご夫婦が作成した遺言書は,

残念ながら,遺言書としてはなりたたないことになりますね。