移植した毛はなぜ一生なくならないのか | ダナ形成外科

 

その答えは、植毛医学でいちばん古い理論のひとつから来ています。1959年にノーマン・オレントライク博士が提唱した「供与部優性説(Donor Dominance Theory)」というものです。

 

この理論によると、毛包は移植された頭皮の性質に従うんじゃなくて、もともと生えていた場所(供与部、通常は後頭部)の遺伝的な性質をそのまま保つと言われています。

 

一生ほとんど脱毛が進まないとされる後頭部から毛包を採取して、脱毛が進んだ部位に移植しても、その毛包は新しく植えられた場所の影響を受けず、元の性質を保つと説明されているんです。

 

脱毛遺伝子の影響を受けない供与部の中から正確に採取した毛包であれば、理論上その移植毛は一生維持されるという説明になります。ここまでが「移植した毛」の話です。

 

でも、ひっくり返して言うと、永久的に維持されるのは「移植された毛」だけなんですよね。移植していない既存の毛(特に移植部位の前方に残っている元々の毛)は、脱毛遺伝子の影響を今でも受けていて、これからも抜け続ける可能性があります。

 

だから、植毛手術を受けた後も、既存の毛が抜け続けないように薬物治療を並行することが、男性型脱毛の管理全般で一般的に勧められる原則として説明されているんです。移植した毛だけに注目していると、この部分を見落としがちなんですよね。

 

供与部の中で正確に採取・移植された毛は一生維持されると説明されています。でも、それは「植毛した後はもう脱毛管理が必要ない」ってことじゃないんですよね。今の自分の毛、移植した毛と移植していない毛、両方の経過をちゃんと分けて考えてみませんか?

 

 

ひと目で比較

区分 維持されるか 理由
移植された毛(供与部から移された毛包) 理論上は一生維持される 供与部優性説――元の場所の遺伝的性質を保つ
移植されていない既存の毛 抜け続ける可能性がある 脱毛遺伝子の影響をそのまま受ける
全体としての印象 両方の経過が合わさって決まる 移植毛だけでは全体の脱毛を止められない

よくある質問

Q. 植毛すれば、もう薬を飲まなくていいんですか?

A. そうとは限りません。移植していない既存の毛は脱毛遺伝子の影響を受け続けるため、薬物治療を並行することが一般的に勧められていると説明されています。

 

Q. 「供与部優性説」って何ですか?

A. 1959年にノーマン・オレントライク博士が提唱した理論で、毛包は移植先の性質ではなく、もともと生えていた場所の遺伝的性質を保つという考え方です。

 

Q. なぜ後頭部の毛を使うんですか?

A. 後頭部は一生ほとんど脱毛が進まないとされていて、そこから採取した毛包は脱毛遺伝子の影響を受けにくいためと説明されています。