しかし、どこか疲れているような様子の指揮官の彩堂は、あくまで慎重にことを進めたいようだった。
「まず、自己紹介から始めましょう。私は彩堂と……」
「さっきもそれは聞いた」
どこかマニュアル的な言葉に、苛立ったように彩堂を睨み付けた少女が出鼻を挫いた。
彩堂は、そんな鋭い目つきの少女に圧倒され思わず口ごもってしまう。
場の空気が凍ったように感じられた。
少女は明らかに日本人とは異質な存在だった。肌や髪の色、耳の形といった外見的なものだけでなく、纏っている雰囲気自体どこか日本人にはないもののように感じられた。少女の幼さを残した顔は驚く程整っているが、それをカワイイなどと気軽に口にはできない、そんな威圧感のようなものがある。
彩堂のすぐ横に立って事の成り行きを見守っている島秦は、彼女があの森で遭遇した三人組同様、死線をくぐってきた猛者であると確信していた。でなければ、この歳でこんな身を切るような殺気を放っているわけがない。そう思うが、反面、時折見せる諦観とも老成しているともとれる大人びた表情が気にかかった。
少女はきょろきょろと自分を囲む人間達の顔や姿を観察し、最後に見つけた瀬良に向かって尋ねた。
「聞きたいのはこっちだ。いったいなんなのだ? リクジョージエイタイだの、私が誰なのかなど……セラとかいったな、お前、もっと分かり易く説明しろ」
「え? 僕?」
全員の視線が事務所の片隅で護衛として突っ立っていた瀬良に向けられた。
少女が自分も同行することを望んだからなのだが、まさか名指しされてしまうとは思っていなかった。それに、瀬良は彼女が目を覚ました直後にとったあの行為を報告した際に、無線で助けを呼ばなかったことについて彩堂にこっぴどく叱責されていたのだ。
彩堂を差し置いて自分が話を進めるなどまずできることではなかった。
少女の有無を言わさぬ鋭い視線と、彩堂の不機嫌そうな
