3か月ほど前に買い、40ページほど読み積読。

一週間ほど前、ふと読みたくなり読了。

初安部公房。『砂の女』は名前は聞いたことはあるけど、なんかとっつきにくい印象があって読んでなかった。

カフカとかカミュとかに近い感じ(実存的?なことがテーマ)なんだろうか、という薄い印象。

本裏の説明書き

「ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は習慣に塗り固められた現実での存在権を失った、、、」

を読んだ瞬間買うことを決めた。

 

序盤から裁判のシーンくらいまでは、設定・世界観で何とか読んでたけど、ちょいちょい失速した。

名前を失うっていうのが、現実世界でいうところの役職・肩書、そのほかその人のアイデンティティをなすところの諸々の「名前」がついてるもの全部なのだろうと思いながら読んだ。

逆に、「音楽が好き(嫌い)」、「あの場所に行きたい(行きたくない)」とかの、好き・嫌い、欲求・不満、感情?とかの、肩書とは違う意味で(たぶん“内在的に”とかいうんだろうけど)「持つ」べきものをあんたは持っているかいと尋ねられてる気がした。

役職・肩書ももちろんその人を(社会的な意味で)構成するものではあるけど、それを奪われたときにあなた何者なの?っていう。ことかな。

 

まあ、その問いかけって卑怯じゃないの?とも思う(やっぱり社会的な部分を抜きにして「あなた何者?」って聞かれても答えられない的な意味で)。社会的な部分を抜きにした「(本来の)自分自身」が何なのか、みたいなのはなんか違うなと。

 

本編とは関係ないけど、安部公房って東大医学部卒なんだって知って、意外というか、「もったいない」とか思ってしまった。

東大医学部出てたら、学歴に一生しがみついて生きていくんだろうな、自分だったら、とか思う。

東大医学部で、こういう本書くってことは、よっぽど思うところがあったんやろうな、とか勝手に考えながら読んだ。