主査:50~60代の男性
副査:30~40代の男性
 
※全般的に事例の再現が不正確です。ころころ変わるので覚えきれませんでした。
 
主査:今から事例を言います。Aは、Bが一人で住んでいる家にガソリンをまいて放火し、家は全焼した。Aにどのような犯罪が成立しますか。
私:現住建造物等放火罪が成立します。
主査:少し事例を変えます。Aは、B所有の空き家にガソリンをまいて放火し、家は全焼した。Aにどのような犯罪が成立しますか。
私:非現住建造物等放火罪、109条1項の罪が成立します。
主査:また少し事例を変えます。Aは、B所有の空き家を、Bの承諾を得て放火した。Aにどのような犯罪が成立しますか。
私:非現住建造物等放火罪、109条2項の罪が成立します。
主査:理由は?
私:この場合は、所有者の同意がありますから、放火罪の保護法益である財産権の侵害がないからです。
主査:ん?保護法益はそれだけですか?
私:いえ、1次的には公共の安全、2次的には財産権ですが、本件では後者の侵害がないため109条2項の罪が成立すると考えます。
主査:わかりました。それではまた少し事例を変えます。Aは、だれも所有していない空き家に放火し、全焼させました。Aにどのような犯罪が成立しますか。
私:この場合は・・・器物損壊罪?(主査の表情が違うといってる)・・・110条の罪?(違うらしい)・・・109条の罪が成立すると考えます。
主査:1項ですか?2項ですか?
私:本件では・・・109条2項の罪が成立すると考えます。
主査:理由は?
私:所有者がいないので・・・所有権の侵害がないという点では、先ほどのBの同意がある場合と同様だと考えます。
主査:わかりました。では事案をかえます。Aは、B宅のドアの周りにガソリンをまいてライターに火をつけて近づけた。実行の着手はあるといえますか?
私:はい、放火とは、火が媒介物を離れて独立燃焼を開始したことですから・・・
主査:ん?
私:あ、いえ、燃焼を継続でした
主査:今は、実行の着手があるかどうか聞いているんですが。
私:失礼しました!実行の着手は、結果発生の現実的危険が発生したかどうかで判断します。本件では、ガソリンは引火しやすいですから火を近づけただけで燃焼の危険が高まり未遂が成立すると考えます。
主査:では事案をかえます。Aは、B宅の周りに灯油をまいた。・・・
私:(灯油!ガソリンより燃えにくい!これは指摘しないと!)←ちゃんと主査の話を聞いてない
主査:未遂は成立しますか?
私:はい!灯油はガソリンより揮発性が低いので、火を近づけても燃焼の危険が少なく未遂は成立しません。
主査:灯油の方が?
私:揮発性が低い。燃えにくいです。
主査:今言った事案は、火を近づけてなくて、灯油をまいただけなんだけどね。
私:失礼しました!それだとなおさら危険はないので未遂は成立しません。
主査:では犯罪は成立しない?
私:予備罪が成立すると考えます。
主査:放火に予備罪なんてあるの?
私:あったと思います。
主査:本当ですか?
私:(え、あるでしょ・・・)
主査:刑法に規定されていますか?
私:・・・(自信がなくなる)・・・法文で確認させていただいてもよろしいでしょうか。(ひよった)
主査:どうぞ。
私:(法文をめくる)・・・113条に規定されています。
主査:ではまた事案を変えます。AがB宅に火をつける際、たまたま通りかかった通行人Cが、携帯電話で何か話しながら近づいてきたので、Aはその場を立ち去った。この場合、何が問題になりますか?
私:中止犯の成立が問題となります。
主査:刑法43条ただし書の「自己の意志により」の解釈はいろいろありますが、あなたはどのような立場をとりますか。
私:外部的障害がないのに行為者の意思により犯罪を中止した場合、という立場を取ります。
主査:それでは、あなたの立場を本件に当てはめてみてください。
私:はい、通行人が近づいてきた、という外部的事情により犯罪行為を中止したわけですから、中止犯は成立しません。
主査:そうですか。それではまた事案を変えます。Cは、携帯電話で警察に通報していたように見えたが、実は友達と話していただけだった。それを察知したBは、このまま放火することはできるが、どうせやるならBの目の前でやってやりたいと、その場を立ち去った。Bに中止犯は成立しますか?
私:外部的障害がなかったので中止犯が成立します。
主査:そうですか。成立するんですね?
私:(なんかおかしいと思いつつ)・・・Bとしては、やろうと思えばできるのに、しなかったといえますから、成立します。(なんかおかしいな)
主査:Cが携帯電話で話しながら近づいてきた点はどう捉えますか?
私:それは外部的事情ではありますが・・・Bとしては警察に通報されることはないと知っていたわけですから・・・たしか判例は、反省とか、そういうものを求めていて・・・
主査:ん?あなたの立場とは違いませんか?それに本件では反省とかありますか?
私:いえ、ありません。たしかに私の立場は、反省とかを考慮しないものでした。
(この後、しばらくグダグダなやりとり)
主査:うーん、よくわからないなあ。
私:(え、次行っちゃうの、まずい!)
私:(お願い!見捨てないで!)←必死に目で訴える
主査:・・・じゃあこうしましょう。(資料をめくる)・・・「行為者の認識した事情をもとに、一般人が中止するかどうか」という立場を取って、当てはめてみてください。
私:(助かった…のか?)はい!一般人は、ふつう通報されると思いますから、一般人は、本人の目の前でやってやりたいなんて思いませんから、中止犯は成立しません。
主査:ではまた次の事案に移ります。Aは、Bの家のまわりにガソリンをまいて放火したが、火が燃え上がったところで気が変わり、消防署に通報してその場を立ち去った。そこをたまたま通りがかった通行人により、火は消し止められた。この場合、中止犯は成立しますか?
私:成立しません。外部的障害…いえ、中止行為がないからです!
主査:どのような中止行為が?
私:本件ではもう火がついていますから、結果発生の阻止に向けた積極的な行為が必要だと考えます。通報するだけでは足りなく、自ら火を消すなどの積極的な行為が必要です。
主査:わかりました。それでは、Aが逮捕され、放火罪で公判請求されました。争点は犯人性の有無です。検察側としては、犯人性の立証のために、証人尋問を予定しています。このような場合、証人の保護としてどのようなものがありますか。
私:被告人の退廷、傍聴人の退廷、遮蔽、ビデオリンク、付き添いです。(何か足りないような)
主査:13歳の証人が、法廷に一人で立つのに不安があると言っています。この場合、どのような対策を取りますか。
私:はい、保護者などを付き添わせます。
主査:次に、Bの妻Dが証言するにあたり、Aの前に出たくないと言っています。この場合、どのような対策を取りますか。
私:遮へいの措置を執ります。
主査:それだけですか。
私:あと、ビデオリンクです。
主査:遮へいにはどういう種類があるか知っていますか。
私:被告人との間の遮へい、傍聴人との遮へいがあります。
主査:本件ではどちら?
私:傍聴人との…
主査:それで保護になる?
私:DはBと会いたくないのですから・・・被告人でした。
主査:そうですね。ところで、遮へいをするとき、被告人と傍聴人、要件が違うことを知っていますか。
私:はい。
主査:要件が厳しいのはどちらですか。
私:被告人です。
主査:理由は?
私:反対尋問権の保障です。
主査:(副査の方を向いて)何かありますか?よろしいですか?
副査:はい。結構です。
私:(副査が初めてしゃべった!)
主査:では終わります。
 
所要時間:約20分
 
感想等:
民事・刑事の合計が120点だったのでおそらく60点ではないかと思います。
ほとんど刑法の話ばかりで「どこが刑事実務基礎なんだ」というのが正直な感想です。
刑法は各論の準備ばかりしていて、中止犯はほぼノーマークでした。
おそらく受験生の多くが主観説をとっているのを知っていて、わざと詰まるような事例を出してきたんだと思います。
見事に術中にはまり、ボロボロになりましたがそれでも落ちなかったのは皆さん同じような出来だったからでしょう。
ただ平成30年の司法試験論文でも理論的なことが問われたので、予備試験・司法試験を通して、今後は理論面を重視するというメッセージなのかもしれません。
 
順番は、午後のオーラス一つ前でした。
待ち時間は長かったのですが、その間に読んでいた刑訴の条文がそのまま出ました。
何回も受けるとラッキーなことがあるもんです。