最初が このタイトル
荒いながらも自分の好みを良く分かっていたシマがカクテラーをやめてしまい、
頼るところはやはりH氏しかいなくなる。
週明けならオーナーの出勤がない会員制クラブに入れてもらえるらしい。
彼の おかえりなさい と言う 一杯目から始まり
お元気でしたか? と言う 二杯目
またおこし下さい お待ちしております の〆の一杯まで
ゆっくりと味わいたい。
早々に行ける場所でもなければ、早々に行ける立場でも地位でもなくなった。
なくすものもなくし、手元に何もないはずだが、失うものが日々ある。
どうにかしようとすればするほど、心の中から何かが抜けて行く。
そんな流れの中で
信用があったはずの女が、とある日、意味深な言葉を発した。
そしてその日を境に急に言葉を濁すことが多くなり
話をしてもうわべだけだで真意を口にしなくなった。
信用出来なくなった一言は、どんな言動も疑わしくさせてしまった。
もう信用を出来ることはないだろう。
自分も真意を伝えることはもうないだろう。
うわべだけの会話は、心から何かが少しずつ落ちて行く。
こんな時にH氏から連絡が入る。
こちらの心の中を見透かしているように、
「特別な一杯を味わっていただきたいと思い 特別なウィスキーを入手いたしました。」
自分の味覚を解るカクテラーは、平日に尋ねるには少々遠いが、行ってみる価値は重々あるのは解っている。