お香の中で伽羅は別格として通常、主となるのがまず沈香です。
熱帯雨林に自生する沈丁花科の樹木に樹脂が凝結し、樹木が枯れていく中で熟成されて作り出される天然香木です。沈香となる原木には香気がなく、老木や土中に埋没した倒木、枯木のほか虫食い等の様々な原因で傷つけられた傷害木に真菌類が作用して、長い年月の間に薫香を発する樹脂が生成して沈香となるそうです。この樹脂は、動物や強い風など、様々な要因で偶然に傷ついた樹木が、自らの傷を癒すために滲出(しんしゅつ)するもの。沈香は字のごとく水に沈む木であり、比重が大きく香物質の樹脂分が多い。良質な沈香は樹脂が深く沈着しているため、水に沈んでしまうほど重い。これが沈香の名の由来となっているらしいです。
香調は甘味、辛味、苦味、酸味、鹹味などで表現される香りであり、またその香木によりそれぞれ特有の香りがします。
産地はベトナム、カンボジア、インドネシア、ミャンマー、ラオス等。東南アジアの一地域でのみ産出される貴重な香木です。