しかし、この合意はおかしいんじゃないかと思います。
共産党の赤嶺氏は11月30日の衆議院外務委員会で「今回の日米合意が、公務中に犯罪を起こした軍属に対する第1次裁判権は米側にあり、MEJA法に基づき米国内で裁判を行うことまで認めてしまったと指摘しました。」http://jcpakamine.jugem.jp/?eid=999
共産党とは縁もゆかりもありませんが、理屈はあっていると思います。
MEJAは1960年頃の一連の最高裁判決でcivilianを平時は軍法に服せしめることができなくなったために、米国外で犯罪を犯した米国civilianがどこの国からも裁かれない事態が発生したことに対応して、連邦裁判所の刑事管轄を拡張した法律です。軍法に服する者の範囲はを規定する条文を含むthe Uniform Code of Military Justice (UCMJ)はアメリカの法典(USC)のTITLE 10--ARMED FORCES, Subtitle A--General Military Law, PART I--ORGANIZATION AND GENERAL MILITARY POWERS, Chapter 47にあります。アメリカ最高裁の1960年の判決も“Persons subject to this chapter”についての議論です。それに対しMEJAはTITLE 18--CRIMES AND CRIMINAL PROCEDURE, PART II--CRIMINAL PROCEDURE, Chapter 212 の中にあり、軍法の外の刑事事件の連邦裁判所の管轄の話です。US Code: http://www.gpoaccess.gov/uscode/browse.html
今回の合意では、まず「合衆国が、軍属に対し、公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪(…)について裁判権を行使する第一次の権利を有[する]…場合には」とあり、あっさり軍属が公務中に犯した犯罪にアメリカが管轄があるとしていますが、そこが問題だったんじゃないんですか?!
それに、「合衆国の軍当局」(地位協定)の裁判権が「合衆国」(合意)の裁判権に置き換わっていませんか?!それともこれは、合衆国の軍当局が「裁判権を日本国において行使する」が合衆国の軍当局は、「刑事訴追を追求する」に置き換えられたということなのかもしれません。「刑事訴追を追及する」というのは、MEJAのもとで連邦裁判所に訴追を追及するということなのだと思います。しかし、そのように置き換えていいのでしょうか?!
しつこく引用しますが、地位協定では「17条1(a) 合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服するすべての者に対し、合衆国の法令により与えられたすべての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有する。」です。今回の合意は地位協定の条文より広くアメリカに優先管轄を「創設」しているように見えます。
外務省がアメリカの法律を調べて赤嶺議員に返事をするようですが、楽しみにしています。