アメリカに管轄がないということは、アメリカ側で刑事処罰をしなかったことからも推測されます。この軍属に対して米軍が課した罰は、軍が許可する日本での運転免許の権利の5年間の剥奪(行政罰?内規違反?)だけで、処分が大甘だと日本人を怒らせたわけですが、もともと刑事管轄がないので刑事処分ができなかったのではないでしょうか。

じゃ、今後は軍属が基地外で犯した犯罪は日本が裁けるということを日米で確認しましょうということなら話はすっきりしたのですが、日米政府の話し合いの結果は、地位協定が公務中の米国軍人・軍属の犯罪の裁判権が米国にあると規定しているとした上で、今回の日米合意により日本側が軍属について裁判権行使を要請すれば、米側は「好意的考慮を払う」となりました。どうして?!http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/gunzoku_1111.html  


このなぞは外務省の機密文書「地位協定の考え方」により推測することができました。この機密文書は琉球新報が2004年に報道しました。機密なのにネットで読めます。http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/kimitsubunsho-l01.html
(ところで、たぶん那覇検察審査会の結論も、誰かがこの文書に書いてあることを基に調べた結果から導かれたのではないかと思われます。)外務省はアメリカ最高裁の1960年の判例を引いて次のように軍属が平時には軍法に服さないようだと書いています。


「ナト[NATO]諸国の間では、現在、軍属・家族は、右の「軍法に服するすべての者」には該当しないと解されている模様である。」
「わが国においては、建前上は軍属・家族も軍法に服する者に含まれるとの考え方が現在でもとられている。」。(軍属・家族に対する軍法会議の懲戒裁判権は現在でも否定されていないので、この点に着目して軍法に服するとの説明をすることとなろう。)


この機密文書の立場に今も立っているのでしょうね。それから、日米地位協定合意議事録に「第17条1(a)及び2(a)に関し、合衆国の軍法に服する者の範囲は、合衆国政府が合同委員会を通じて日本国政府に通知しなければならない。」とあるので、日本側から一方的には解釈を変えられないのでしょうか。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/pdfs/giji_fulltext.pdf