最近、山下大将のことをブログに少し書きましたが、それは私が第二次大戦オタクだからではなく、きっかけがありました。

少し前、山下奉文裁判(第二次大戦後、山下大将がB級戦犯で米国によりマニラ法廷で裁かれ死刑になった件)の訴訟記録一式が閉じられて本になったものが売りに出ていました。この情報をどこかで発表してくれないかと思いましたが、メディアなどにはあまり関心を持ってもらえなかったので、仕方なく(?)このブログに書いて記録に残しておきます。

山下裁判の資料はNational Archiveにあります。ただ、訴訟記録一式が閉じてあるわけではなく、検察側資料やGHQの法務部の資料がいろいろ箱に入って保管されているはずです(実際に見に行ったことはありません)。今回の本というのは、裁判で使われた訴訟記録一式を閉じたものなので、採用されなかった証拠などは入っていないはずです。裁判直後、マニラ法廷の裁判官など関係者が訴訟記録一式を2分冊にして製本し、それを8セット作り、関係者で分け合ったということです。今回の持ち主も他の7セットの所在を知らず、また私もインターネットで調べましたが、どこにも見つかりませんでした。

売主は、マニラ法廷で働いていた製本技術を持った軍人(裁判官とかではない、実際に8セットを製本した人)の子供です。第2巻には裁判で証拠として採用された虐殺被害者の写真などが含まれているため、子供のころは見せてもらえず、木箱にいれて釘を打って保管されていたそうです。このたび高齢の持ち主の将来の遺産整理として本の売却を試みたようです。

売却交渉の経過や競合した買い手希望者などのことは詳しく書けませんが、売買の合意がいったんできた後で、売主の子供の一人がどうしても自分が欲しいと言い出し、売買はキャンセルされました。

本当は、私は日本の機関か日本人研究者に買って欲しかったです。ちゃんと日本の戦犯のことを勉強して、国際刑事法廷や戦犯法廷の議論のときに、裁かれた側の過去の経験を生かした発言を日本人にして欲しいです。今度売りに出たときにはぜひ。