001 「旅に出る」書き置き残し仕事行く
002 十三月二日と言い張る八歳児
003 青空を宇宙に変えて陽は沈む
004 あの頃のナウなヤングも五十過ぎ
005 あの娘には僕など唯のえきすとら
006 あの娘の名自分の苗字を付けてみる
007 あらいやだ月が頬染めピンク色
008 ありがとう残業明けのサンタさん
009 いたずらなイルカのようにはしゃぐ海
010 一度しか来ない十七歳の夏
011 いるはずのない君を見る指定席
012 インディアンサマーの日向眠る猫
013 エヴリデイ逢いたいお前が好きやねん
014 エレベーター電子レンジと同じ音
015 オーロラの幕を開ければ流星雨
016 オクラホマミキサー届け僕の恋
017 おじさんの「つい最近」は『五年前』
018 おっぱいがいっぱい歩くリゾート地
019 おなじいろ量産型の子どもたち
020 おばちゃんという生物になった嫁
021 お月さま半分かじったビスケット
022 お互いに違う話題で会話する
023 お疲れさん独り呟きビール呑む
024 カーボンの空に朝陽が火をつける
025 カミさんよダメ出しだけが躾かね
026 カレー食う時は不思議と白い服
027 キスはダメたとえカラダは許しても
028 キャンドルを消して夜空に灯をともす
029 くず籠に当たって外へハズレくじ
030 くちびるが君の温もり覚えてる
031 けしからんプールサイドで目が泳ぐ
032 下駄箱に入っていないラブレター
033 ゴミ箱へ往復します入るまで
034 こんな夜は「頑張れ俺!」と呟いて
035 歳月は短くなりて日は長し
036 しびれてもガンバレ俺の薬指
037 しょうがない献血の日だモスキート
038 ストローの間接キッスソーダ水
039 ゾウガメのボヤき背中が痒いです
040 そうめんと一緒に泳ぐ夏の夢
041 そばにいるただそれだけのことなのに
042 それぞれが闇を抱えて生きている
043 それぞれのまっすぐ帰らない理由
044 タミフルを飲む時腰に手を当てて
045 ちゃぶ台も家庭もひっくり返す父
046 チョコレートもらい五センチ宙に浮く
047 テレビ観る姿勢が同じ母娘
048 どこかしら調子が悪いお年頃
049 どす黒いオーラが出てる今朝の嫁
050 ドラゴンになれば星まで届くのに
051 にっこりと笑顔の運転免許証
052 ネクタイと口元結び初仕事
053 ネタよりも皿の色見て選ぶ寿司
054 のばした手届かぬ指を握りしめ
055 ばあちゃんが老後の心配しはじめた
056 はじめての海で最後に見た夕陽
057 バスに乗り行方不明になってみる
058 パパの手を頬に押し当て寝る娘
059 昼寝する専業主婦は忙しい
060 フォークだけ使って食べるユリ・ゲラー
061 本当の色を忘れたカメレオン
062 ボンネット乗ってトカゲは旅に出る
063 マイハニー醤油を取ってくれないか?
064 メモ書きを忘れないようメモに書く
065 もったいない心を鬼にして投げる
066 よそゆきの仮面を脱いで顔洗う
067 ラッパ吹く夕焼け三丁目の豆腐
068 レントゲン心臓に毛が生えていた
069 愛妻と言う時唇噛みしめて
070 愛妻と入力する時手が震え
071 茜空一緒に帰ろ影法師
072 闇に浮くプラスチックなネオン色
073 胃カメラにVサインするピロリ菌
074 遺言書俺と一緒に焼いてくれ
075 一日中何か食べてる日曜日
076 陰のある夕焼け空に鳴く鴉
077 右巻きにゆっくり急げかたつむり
078 雨戸閉めキャンプ気分の子供逹
079 雨上がり波紋を残す水たまり
080 雲間からブルーチーズの月が出る
081 影法師己が背中の丸さ知る
082 映画より手の温もりを憶えてる
083 永遠に続くものなど何もない
084 遠足のリュックにわくわく詰め込んで
085 屋根の上王者の如き鳩ぽっぽ
086 下駄箱を開けて探したラブレター
087 化粧する時は女の顔になる
088 何もかも忘れるようなキスをして
089 何故パパはあたしと結婚しなかった?
090 何故パパはママと結婚しちゃったの?
091 夏祭り百円玉を握りしめ
092 嫁さんよ娘にミスをさせてやれ
093 嫁の指示通り走って迷う道
094 火星人ニュース地球が大接近
095 蚊に吸われ貧血気味の今朝の夏
096 悔しさは握り拳の中にある
097 外出を控える鬼の豆知識
098 街灯の光を削る夜半の雨
099 楽しいか?働き蟻に訊いてみる
100 割り切ったつもりで残る小数点
101 寒月の嗤う夜闇に吠える犬
102 寒月下落葉集めるつむじ風
103 漢なら一気に飲めよ風邪薬
104 肝心なときは電話に出ない嫁
105 帰り道逢魔が時の長い影
106 帰宅して良妻賢母の仮面脱ぐ
107 鬼嫁のアルゴリズムがわからない
108 客の前歩くな走れバイト君
109 久しぶり元気でした?と医者が言う
110 休むとき「持病のシャクが…」と言ってみる
111 居場所など無いが帰れる場所はある
112 拒否されて泣く赤ちゃんを捨てる親
113 虚空から降りしきる雨夜の底
114 共に時過ごすがいつか義務になり
115 凶悪な写真を選ぶパスポート
116 恐るべき胸の谷間に夏の影
117 教えてよ切ない日々の過ごしかた
118 近眼用老眼用でも見えぬ距離
119 金魚去り最中の月もうなだれて
120 銀行の決まり手いつも引き落とし
121 空気まで琥珀色した古本屋
122 君の声ラストシーンを告げている
123 血塗れのサンタが家にやって来る
124 月に向けモールス信号打ってみる
125 月よりも君が綺麗だ…なんちゃって
126 月光が切り出す樹々のシルエット
127 月光も瞬く星も凍る夜
128 健康に良くないものは旨いもの
129 喧嘩でもしなきゃ夫婦の会話なし
130 犬と俺チキンレースのすれ違い
131 肩の荷の分だけ重い終電車
132 肩車星を掴めや娘の手
133 見上げれば夜空星降る砂時計
134 故郷は世界の果てから三時間
135 光圀もカカカと笑う日本晴れ
136 口づけが二人の夜を加速する
137 口喧嘩背中合わせに眠る夜
138 幸せ?と訊く愛妻に口ごもり
139 行き先も知らないバスに乗ってみる
140 腰に手を当ててタミフル一気飲み
141 菜食でいつか私は蝶になる
142 雑踏に佇む孤独俺一人
143 三十年前に終わった夏休み
144 思い出と宿題残る夏休み
145 指先で鳴らす風鈴百と八
146 試食後しれっと気配を消して去る
147 若作りしておしぼりで首を拭く
148 手間かけて自然に見える無精髭
149 秋の暮れ丸き背中も影長し
150 十字架を背負う案山子が鴉追い
151 渋滞が帰省の実感盛り上げる
152 純情が学ラン背負い歩いてた
153 初版買い愛蔵版買い文庫版
154 初恋も酔いも醒めたよ同窓会
155 勝負用パンツが風に揺れている
156 商談は将棋の歩なり成ると金
157 小悪魔はやがて立派な鬼嫁に
158 小太りの天使が眠る腕の中
159 焼き魚挟んで猫と睨み合う
160 焦るパパ家具を組み立て余るネジ
161 場外へ放物線を描く夏
162 食前の薬忘れるお年頃
163 伸ばした手届かぬ指を握りしめ
164 唇に君のルージュが残ってる
165 寝違えて首が回らぬ支払日
166 心でも手を繋いでる老夫婦
167 振り上げた拳落として頭かく
168 新しい靴で踏みしめ歩く街
169 深き闇何に怯えて犬は哭く
170 深宇宙孤独な星の叫び声
171 真夜中に保険証書を手繰る妻
172 神さまは残酷なほど慈悲深く
173 神の目の届かぬ場所で爪を切る
174 神々もアクビをしてる春の午後
175 神様も退屈してる昼下がり
176 身体より心が先に諦める
177 人の波掻き分け歩む孤独感
178 人々の夢と祈りはすべて星
179 人生もBGMがあったなら
180 人知れず風を粧う姥桜
181 人類の総体重も増えている
182 吹き荒ぶ夜の粒子がノックする
183 水底のアンモナイトを照らす月
184 水芭蕉横目に泳ぐやせ蛙
185 政敵をヒラリとかわすクリントン
186 星の海南風受け進む月
187 星空を丸い月まで落ちてゆく
188 星々の囁き声の降る夜に
189 正座して洗濯物を畳む夜
190 生意気にパパの心配する娘
191 聖橋あたしの帰る場所はない
192 西へゆく線路の脇の花に風
193 西南西目指し漂う鰯雲
194 誠実に勝るものなしプロポーズ
195 青が蒼紺から墨へ空に星
196 青空の雲は涙をためている
197 青天に海は嵐の色で泣く
198 節分は三月三日と思ってた
199 絶望という名の汽車に乗った夜
200 千億の夜を見つめる寒北斗
201 扇風機首振り合わせ移動する
202 洗濯を干そう国歌をかけながら
203 前屈みたわわに実る秋を見る
204 前歯抜けストローさしてジュース飲む
205 蒼い空世界は狂気に満ちている
206 蒼い空漂い浮かぶクラゲ雲
207 蒼と碧交わらぬ線空と海
208 足元に寄り添い眠る仔犬君
209 太陽が極太の筆描く夏
210 太陽が切り取る木陰蝉の声
211 太陽が僕の頭上に落ちる夏
212 太陽に向かって走れ海の道
213 太陽の拳に叩きつけられて
214 太陽は固いオレンジ冬の朝
215 太陽は今日もやる気だ夏の朝
216 太陽は夜の地球を知らぬまま
217 帯を引き悪代官が独楽回し
218 苔むした古道歩めば山の影
219 退屈なフリをしているウチの犬
220 大寒に肩を寄せ合う雪だるま
221 大切な七十二億分の一
222 箪笥には痩せた記念のMサイズ
223 断捨離に住処追われし付喪神
224 地の果てが空に重なるホライゾン
225 置き時計眠れぬ夜を切り刻む
226 遅刻しておはよう?そいつはご挨拶
227 仲見世を手ぶらで帰るバチあたり
228 昼下がり風に乗る声金魚売り
229 貯金して買った直後に五割引
230 丁寧語使って夫婦喧嘩する
231 張り詰めた闇向こうから誰か来る
232 朝ご飯家を出る頃炊き上がる
233 朝帰り何故かパンツは裏表
234 朝露に濡れた草食む馬の群
235 長いキス息継ぎしてもいいですか?
236 天井に映る水面がゆらゆらと
237 田舎では信用されぬ標準語
238 努力して作り笑顔で帰宅する
239 冬空をしゃなりしゃなりと歩く月
240 冬将軍秘奥義北斗大寒波
241 唐繰の幻燈廻し踊る影
242 唐傘の小雪落として縄のれん
243 灯を消して広がる闇を見つめてた
244 灯を消して瞳閉じれば雨の音
245 灯火を消して闇夜と同化する
246 糖質をとれる幸せ噛み締めて
247 逃げるよに薄暗い部屋後にする
248 頭が高い!控えろ!ケーキが欲しいなら…
249 同じ星見つめていたい夏の夜
250 同レベル母と娘が喧嘩する
251 童心に帰り世界を創造す
252 独りでは出来ぬ喧嘩も二人なら
253 独りでもいつもと同じ端で寝る
254 独り言いうには部屋が広すぎる
255 独り寝のベッドの広さ気づく夜
256 読む本と愛蔵本は別に買う
257 読めるけど書けない文字が増えていく
258 突風に雨の勾玉飛び跳ねて
259 呑み過ぎた父さん便座で懺悔する
260 呑み干すは月と桜が浮かぶ杯
261 呑んだくれ一升瓶の高枕
262 曇りでもそこは陽がさす子の笑顔
263 楢板に寄せては返す海胆の波
264 南風揺らす椰子の木夏の影
265 二人だと俺を苗字で呼ぶ女房
266 匂い嗅ぎ賞味期限のウラをとる
267 肉のない肉コロッケが懐かしい
268 虹色の地平線まで百マイル
269 日常に押し潰されてぺったんこ
270 認めようそしてそこから始めよう
271 猫は友犬は家族になるのです
272 熱はかるつもりで頭突きする娘
273 熱唱でトリを勤める仕舞風呂
274 念力でこっちへ向ける扇風機
275 婆ちゃんが娘拉致した日曜日
276 盃に月を落として玉子酒
277 背を丸め暖簾をくぐる夜勤明け
278 背負うものありて足跡深くなり
279 背負う子の寝息に合わせ歩く父
280 白い音深夜画面の砂嵐
281 薄化粧小指で引いた赤い紅
282 煩悩の鐘を叩いて百八つ
283 飯を食うために働きランチ抜き
284 百億の夜を重ねて朧月
285 氷山の上に素麺ちんまりと
286 病名をつけてもらって一安心
287 貧乏性肉だけ食べるバイキング
288 不機嫌な妻と静かな夕食を
289 不携帯端末机の上にあり
290 不精者こたつ王国築く冬
291 浮気して鏡に映るキスマーク
292 父さんが車洗った明日は雨
293 父さんは将来何になりたいの?
294 父さんもワガママ言っていいですか?
295 父親の威信をかけて蓋開ける
296 負けるなよその哀しみの重力に
297 風呂の後良いダシ出たか気にかかる
298 風呂上がり鏡の前でポーズとる
299 聞き分けのいい嫁絶対なにかある
300 偏差値で決めた進路を征く台風
301 片付けて行方不明になる書類
302 母ちゃんの機嫌悪いと合図する
303 抱きしめた娘ひなたの香りする
304 蜂さえもクシャミをしてる杉花粉
305 豊穣な香り楽しみ靴を脱ぐ
306 魔女になる箒欲しいと言う娘
307 満月をよこぎる箒魔女の影
308 満天の星のシャワーに濡れる夜
309 眠くなるテールランプの赤い色
310 夢で逢う初恋の人変わりなく
311 夢見てた合わせハートのペンダント
312 娘さんもっと自分を信じよう
313 娘ちゃんきゃぴきゃぴ光線発射中
314 娘の絵末はピカソかシャガールか
315 娘子は待ちくたびれて夢の中
316 名も知らぬ池のほとりの散歩道
317 名月下息を殺して団子食う
318 明日より怖い明後日筋肉痛
319 明日楽するため今日は苦労する
320 木枯らしやおでんが旨い長楊枝
321 木漏れ陽のシャワーはいかが小鳥たち
322 黙々と炒飯作るラーメン屋
323 目が座る嫁がすっくと仁王立ち
324 目の前に月より遠い君がいる
325 目を閉じて唄う童謡シャボン玉
326 目覚ましに叩きこみたい右拳
327 目配せでわかる母ちゃん警報機
328 夜が満ち軌跡を描く螢舞
329 夜祭りで大人の味覚ニッキ水
330 夜桜の下で信長舞を舞う
331 野良猫がお百度参り僕の足
332 優しくて財産あってイケメンで
333 友達は夕陽が作る長い影
334 友曰く顔だけ種田山頭火
335 遊園地荷物係を志願する
336 夕焼けに背中丸めて父帰る
337 夕暮れに都会の空が錆びていく
338 幼子が目を輝かせ雪を踏む
339 幼子は何を急ぐか小走りで
340 陽炎に揺れる遼かな地平線
341 欲望が弾けたあとの小さな死
342 来世にはきっと父の日あるだろう
343 落ちそうな雨雲支え虹柱
344 落陽に染まる海辺の散歩道
345 立ち聞きをしている犬が嗤ってる
346 流し目でそうめん食べる良太郎
347 旅の空菜の花畑春の午後
348 冷めた愛電子レンジで温めて
349 冷麦の流れ渦巻く硝子鉢
350 恋という文字を支える下心
351 恋文を台無しにする誤字脱字
352 連休の計画知らぬお父さん
353 露天商ふと足止める名調子
354 露天風呂浮かぶは柚子かおっぱいか
355 狼になれなかったよ送るとき
356 老いぼれにロマンティックをもう一度
357 曼荼羅を咲かす秋桜小宇宙
358 嗤う妻禍々しさがス・テ・キだよ
359 揉み手して鍛える上腕二頭筋
360 朦朧と揺れる火焔樹雨模様
361 椰子の葉がマリンブルーの風に揺れ
362 炬燵城僕の小さなキングダム
363 藪蚊君カカトを吸って愉しいか?
364 蠅叩く虫も殺さぬ顔をして
365 鍼灸師「動かないで」とクギをさす