「はい、どうぞ」



アイが笑いを堪えながら灰皿を差し出す。


「え?」


「タバコですよね、リョウさん?どうぞ」


あー、どうやらボクの挙動を見られていたようだ。


「ありゃ、わかりました?えと、あの~、大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です。というか・・・あたしも吸っていいですか?」



・・・っえ?あれ?


「も、もちろんだよ。あ、そうなんだ。あはは、どうしよかなーって考えてましたよ」


「あはっ、あたしも。リョウさんタバコ吸う人なのかなぁって見てました」


ホっと安心して胸ポケットからタバコを出して


「そっかぁ。初対面だとコレに気を使わないとだからねえ」


アイもポーチの中から’バージニアスリム’とライターを取り出す。


「そうなんですよねぇ。でも安心しました」



カチっと電子ライターで火を点け、フーと一息。


はー、これぞまさに安堵の一服。


「でも、アイちゃんが吸うとは意外な感じだけどね」


クスっと笑いながらアイもタバコに火を点け


可愛らしくポゥと煙を出す。


「そう?あたしね、つき合う人はタバコが大丈夫な人じゃないとダメってくらい吸うんですよ」


またドキっとすることを。いや、意識しすぎか。


「じゃ、ボクは合格だ」


フ~と煙を吐きながら軽く返すが内心ドッキドキ。


「うふふ、そうですね」


おう、大人の会話。


ま、ボクもここで図に乗って食らいつくほど幼くはない。


とか考えながら内心ウッキウキ。



おっと、そうだ。


チャコにも気を使わせてしまってたのかな。


灰皿をチャコのほうに移動させ


「まぁ、チャコも吸ってよ」


「は?あたしタバコ吸わないんだけど」


・・・・・ごめんよ、チャコちゃん。



改めて見た目だけで女の子を判断しちゃいけないのはよくわかった。