皆様大変、大変長らくお待たせ致しました・・・(;^_^A
もう去年の夏頃から呟いていました「双子話」とうとう完成しましたーっ!!!
構想から気付けば半年www いやその間にクリスマスとアラン誕を挟んでしまったので実質二カ月は中断していましたけどね。
本当に本当に難産でした・・・。
この話を書くきっかけになったのはやはり大好きな浜崎あゆみの歌詞からです。
創作の導入としてざーっと歌詞に目を通されてから読めれる事を今回は強くお勧めします!!
歌詞はこちら→Breakdown
今までもあゆの歌詞からお話を書くことは多々あって歌詞も載せていたけれど、そこは見ても見なくてもどちらでも読めるかな・・・と思ってあえて触れませんでしたが、今回は・・・。
今回のこの歌詞は、特に双子、レオやアランを想うプリンセスはどう捉えられるかな~というのもあります。
ちょっと今回ばかりは歌詞について語らせて下さい。お話を読みたい方はスルーして下さいねw
この歌を初めて聴いた時にまず頭に浮かんだのは幼いアランとレオの姿でした。
『優しく笑っているあなたの目を見つめていたら この世には愛など存在しないと聴こえた』
この部分、優しく笑っている人物はオーバン卿で「愛」は両親の愛を私は連想しました。
そこからアランとレオを思い浮かべ今回のお話を組み立てた次第です。
「頑張って」「強いね」この言葉は親を亡くした子供によく向けられる言葉でもありますよね?
そんな部分もあって幼少の双子がポッと出てきたのだと思います。
そして何よりグッときたのはこの部分。
『このまま僕は歩いて行くよ この先ずっと歩いて行くよ
こわいものなど今はもうないよ ただその事がとてもこわいよ』
ここは主にレオを連想させるフレーズな気がして仕方ない(><;)
もう捨て身って感じ・・・。
とまあ、私はこんな感じであゆに限らずこんな事を考えながら歌を聴いています(*v.v)。
それぞれの歌詞を解説してしまうとキリがないので割愛しますが、そう思いながら聴いているとここに出てくる歌詞全てがアランとレオの事を言ってるようにしか聴こえなくなってしまいました。
この歌詞を元に本編では触れられていない双子の幼少を、双子の分岐点になった「あの日」の事を書いてみたい!!アランとレオが同じ光景を目にしながら二人は何を感じ何を考えたのか。そして二人の間に何があったのか?それを自分なりに纏めてみたいという思いから書く事を決断しました。
創作としてきっと一番危険な部分に足を突っ込んだ自覚はありますwwwwwww
でも書いてみたくなったんだから仕方ない。
しかしいざ始めると途方もなく難しかった・・・。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
後悔しました。アランはまだしもレオ本編全て読み返しました。スクショもしました。
アランとレオの立場になって考え、感じ、見て・・・。途中本当に苦しすぎて愚痴も零しました。たかが創作。でも出来るだけ本編に忠実に沿った話にしたくて時間をかけ悩みました。
こんなに深く悩んだのは自身初めてです。
でもそれだけ達成感もあるし、双子の心情に少しでも触れられたような気はしています。
このお話を書くにあたってTwitterやオフ会でアドバイスを頂き協力してくれた姫様もたくさんいます。その節は本当にありがとうございました!!!
その期待に応えられるお話になっているかは分かりませんが、今の私の持っている最大限の力で書きました。そんな皆様に楽しんで頂けたら嬉しいです。
今回、プロローグとレオ目線、アラン目線で書いています。
レオとアランのお話は先程触れたように同じ光景を見ながらレオとアランは何を思っていたのかを明確にしたかったので時系列は同じです。読む順番としてはアラン→レオの順で読まれた方が良いかもしれません。ってのはアラン目線のお話を元にレオ目線を書いたのでw
何だか今回はいろいろこだわりがあってすみません・・・。
この話は全て私の捏造です。レオ、アラン本編のネタバレも含まれますのでお読みになる際はご注意下さい。ご理解のほど宜しくお願い致します。
きっとあとがきも長くなると思うのでそちらもお付き合い頂けたら嬉しいです(*^▽^*)
ではどうぞ~♪
From all that day... ~プロローグ~
「アラン早く!!遅れちゃうよ」
「ちょっと待ってよ、お兄ちゃん」
後から階段を下りてくるアランを急かすレオ。いつもより家を出るのが遅くなってしまった双子達は玄関で慌ただしく靴を履いている。
「珍しいわね。二人とも寝坊だなんて・・・」
慌ただしく階段を駆け下りてくるアランの足音を聞きながら小さな溜め息をつき母がキッチンから出て行くといつもなら『いってきます』と声を揃えて出て行く双子の姿がもうそこにはなかった。勢い良く閉まるドアの音だけが響き渡る。
(あんなに慌てて大丈夫かしら・・・)
今日は稽古場で騎士になる為の訓練テストがある。それで昨日はレオもアランも遅くまで起きていたようだった。
玄関を開けて心配そうな眼差しでいつも歩いて行く道の先に目を向けると二人が連なって走って行く姿が見えた。
「随分賑やかな朝だったな・・・」
後ろからひょいと顔を覗かせ父親も二人の姿を遠目に見る。
「あら、もう起きたの?昨日遅くまで起きていたみたいだけど・・・」
「ああ、ちょっとな。どうしてもやらなきゃいけない事があってさ」
「そう・・・。今日は?」
「今日は家でやりたい事があるから書斎にいる」
「分かったわ。じゃあこれから朝ご飯の支度をするわね」
「ああ、頼む」
ドアを閉めようとした時、頭上で数羽のカラスが鳴きながら飛んでいく。
(カラス・・・何だか不気味ね・・・)
鳥の鳴き声など普段なら全く気にならないのに何故かこの時は異様に耳についた。何かの前触れなのだろうか・・・。それともただの気のせいなのか。
(あの子達大丈夫かしら・・・)
不安を感じた母は双子達の向かった方を見ながら手を握りしめ胸に押し当て心の中で念じる。
―あの子達をどうかお守り下さい・・・―
まさかこれが母の最期の祈りになるとも知らず・・・。
*
*
*
「ねえお兄ちゃん、今日の夕ご飯何かな?」
「アランはさっきからそればっかりだね」
「だってテスト頑張ったら母さん御馳走を作ってくれるって言ってたんだもん」
まだ陽の沈みきらないオレンジ色の空。青みがかった東の低い空には薄く輝き始めた大きな満月が姿を現わしていた。
稽古場での訓練テストが上手くいったアランは薄明るい中をレオと上機嫌で家路に就いていた。
「父さんと母さん喜んでくれるかな?」
「きっと二人とも喜んでくれるよ」
「ねえお兄ちゃん、ここから家まで競争しよう」
「よし分かった。じゃあ・・・よーい、どんっ」
レオのかけ声で二人は家まで続く一本道を颯爽とかけ出して行く。二卵性とはいえ体格はほぼ同じ。ただ負けん気の強さが人一倍あるアランは競わせるとムキになる事を分かっていたレオは兄弟間での争い事の殆どをアランに譲っていた。この日もいつもと同じようにアランを先に家に向かわせた。
しかしこの事がのちにレオに大きく降りかかる事になろうとは・・・。
「ただいまーっ!!」
アランが息を切らせて勢いよく玄関を開けるといつもなら奥から「おかえり」という母の声がするはずなのに今日はその声が聞こえてこない。しんと静まりかえる玄関。
(あれ?母さんいないのかな・・・)
今日は書斎で父も仕事をしていると言っていた。その事を思い出したアランは真っ先に二階にある父の書斎に向かった。
「父さん・・・?」
ドアをノックしても反応がなく中を窺うようにそっとドアを開けてもそこに父の姿は無かった。窓から風が吹き込みカーテンがひらひらと靡いているだけだった。
(どこ行ったんだろ・・・)
首を傾げながら階段を下りて行く。開いたままの玄関と窓。戸締りもしないで出かけるなんて事は絶対しないし、そもそも出かけるような話も聞いていない。仮に出かけたとしても稽古から帰って来る自分達に合わせて必ず母は家に居るようにしてくれている。
なのに・・・何で・・・?
何をどう考えても自分の思い付く事に対して今のこの状況は矛盾な事ばかりだ。
物音一つなく人の気配のない家。まるで自分の家ではないような錯覚に襲われる。
(おかしいな・・・)
アランは階段を降りて頭をポリポリ掻きながらリビングに足を踏み入れるとピタリと体を硬直させる。
ソファーやテーブルなどの家具の位置がずれ、花瓶に挿してあったはずの花や陶器の破片が床に散乱して辺りが水浸しになっていた。
(え・・・これって・・・どういうこと?)
一瞬にして空気が張り詰める。アランは息を呑み、奥のキッチンへ足音を忍ばせながら向かうとそこに広がっていた光景に目を見開き驚愕した。
遅れて着いたレオが玄関を開けようとドアノブに手を伸ばした時だった。
「父さんっ!!母さんっ!!」
家の中から聞いた事のないアランの叫び声が聞こえた。
(アランっ!?)
レオは慌てて玄関を開けてアランの声がした方に向かうと荒れ果てたリビングの光景に愕然とする。
(何だ・・・これ。何でこんな事に・・・)
家の中で何が起きたのか全く理解が出来ない。放心状態で立ち竦んでいると奥のキッチンからアランのすすり泣く声が聞こえてくる。恐る恐るその声がする方へ行くと、変わり果てた両親の姿を前にアランが嗚咽を漏らして床に泣き崩れていた。
レオは膝から崩れるように床に座り込み、手の震えを抑えながら父に庇われるようにして横たわる母の頬に手を伸ばす。
「母・・・さん・・・」
声を振り絞っても今のレオには掠れた声しか出てこない。
呼びかけても体を揺すってもぴくりとも動かない父と母。冷たくなった両親の体がレオに現実を突き付ける。
「どうして・・・何で・・・だよ・・・」
床に突っ伏して泣き叫ぶアランの隣でレオは涙を堪えるように唇を噛みしめる。
(なんで父さんと母さんがこんな目に遭わなきゃいけなかったんだよ・・・)
レオはぎゅっと目を瞑り拳を握って怒りに肩を震わせる。
その時だった。
―ガシャーン・・・―
リビングの方から何かが割れる音がしてレオと泣き伏していたアランは顔を見合わせる。
「何の・・・音?」
二人はそろりと立ち上がりリビングを覗くと火の点いた矢が壁に刺さっている事にレオが気付いた。
「火だ!!アランっ!!」
「えっ!?」
すると、次から次に火の着いた矢が家の中に放たれてくる。それは次第に壁や家具に燃え移り、思いのほか火の回りが早くて辺りはだんだんと炎に包まれ始める。この場を一刻も早く離れようとレオがアランの手を引くとアランはレオの手を振りほどき目に涙を浮かべて叫んだ。
「嫌だっ!!父さんと母さんを置いて行くなんてできないっ!!」
「でもこのままじゃ、俺達だって死んじゃうよ」
「それでもいいっ!死んじゃえば父さんと母さんと一緒にいられるもん」
「そんなことして父さんと母さんは喜ぶと思う?アラン」
「そんなの分からないよっ!!」
「父さんと母さんは、俺達が騎士になる事を応援してくれてたんだよ。死んだら騎士にもなれない!!俺達が今できることは・・・」
それまで必死に堪えていた涙と感情がレオの中で溢れてしまい大粒の涙を流しながらアランの両手をぎゅっと握って大声で叫んだ。
「二人の分まで生きる事なんだよっ!!!!」
「・・・っ!」
今まで見た事のないほど感情的なレオにアランは驚く。レオのその言葉にアランは正気を取り戻したのか後ろで横たわる両親の亡骸に目を向ける。二人の周囲をだんだんと炎が取り囲んでいく。
「アラン・・・行こう」
その声に振り返ったアランは袖で涙を拭い、泣き腫らした顔でコクりと頷いた。
鼻と口を覆いながら玄関に向かおうとするとアランがレオを呼び止めた。
「お兄ちゃん待って。あの時計だけでも持って行く・・・」
アランは立ち止まり暖炉の上に飾ってあるアンティークの置時計に目をやる。これは両親が大切にしていた想い出の品物。と同時に今日までの幸せな日々の時間を刻んできた時計だ。せめてこれだけでも・・・。アランはその一心でレオの肩を借りて置時計に手を伸ばした。手にすると火の粉で置時計の一部が燃えかかっていた。アランは慌てて吹き消し手で叩く。辺りを見渡すと次第に炎が勢いを増し煙が立ち込めてきた。
ガシャンっ!!
その時、ガラスが割れる音がしたと同時に炎がキッチンから伸びるように吹き出してきた。胸にぎゅっと置時計を抱えたままその炎に怯える事無くその場に立ち竦むアラン。
「アランっ!!早く行こう!!」
レオは今度こそアランの手を強く引っ張り玄関へと引きずるようにして連れて行く。
外に出るとそれまで感じなかった息苦しさを覚えて咳き込むレオとアラン。フラフラになりながらも少し離れた場所に二人は倒れるように座り込んだ。振り返ると真っ赤な炎が屋敷をのみこんでいく。その様を二人はただただ見つめる事しかできなかった。
~To be continued...~
~アランSide~
~レオSide~
~あとがき~