怖い話を、知りました。
内容はまったく覚えていません。誰から聞いたのか、はたまた何から呼んだのか、それすらも覚えていないんです。
それはまるで穴の空いた麻袋に砂を流し込むようで、頭に入る先からさらさらとこぼれ落ちてゆく。
それでも恐怖の魔手は私の背中をざらりと撫でて、言いようのない不安を残していくんです。
それからというものの、天井の染みや片眼の猫や、また街行く人々の視線のその先に、底知れぬ闇があるような気がして眠れない。
けれどある日、私は自分の部屋を見渡して理解しました。
先を円い輪状に結った、天井から下がる長い縄。
私は、自分が怖いんですね。
