~「牢獄を内側から開けるための」奇妙な機械も、ブルネッレスキが考案した技術を応用したものだ。「アトランティコ手稿」の中の素描は、ねじを切ったボルトを直角に取り付けた三脚型の頑丈なウィンチを示している。ボルトの先には、対象を噛む仕掛け-レオナルドは「やっとこ」と呼んでいる-が取り付けられている。別な素描には、この道具で窓の鉄材をもぎ取る様子が図解されている。この機械は軍事用器具に分類されるかも知れないが、同時に、レオナルド自身の投獄の記憶、例のヤコポ・サルタレッリに関する告発のために「君らは私を牢にぶち込んだ」という経験とも関係している可能性が考えられる。

アトランティコ手稿f.34r~脱獄のための装置?
ちなみにf.34rとはフォリオ(紙葉、つまり紙)34枚目の表(recto)のこと。裏はv(verso)という。