☆ ダ・ヴィンチが書き残した2種のカメレオン
あまり知られていませんが、
レオナルド・ダ・ヴィンチは、手稿と呼ばれる膨大なノートを書き残していました。その中に、カメレオンについてこう書いています。
これは常に身の周りにある物の色に変色する。だからしばしば象によって葉と一緒に呑み込まれてしまう。
(パリ手稿H)
カメレオンといえば変色、変色といえばカメレオンというほど、カメレオンには、色が変わるイメージがあります。
しかし、周囲の色に合わせて外的から身を守っていたかと思うと、それが葉っぱだと思った象にペロリと食べられてしまいました。。せっかく、色を変えて潜んでいた苦労が台無しですね。
ダ・ヴィンチは、カメレオンについて、全く違うこんな不思議な文章を、同じパリ手稿の中に書いています。
これは空気を食べて生きており、大気中はすべての鳥の餌食にされる。そこで彼はもっと安全になるために、雲の上まで飛んで行き、自分を追いかけてくる鳥が耐えられないほどの薄い空気に到達する。このような高みでは、天与の適正を授けられている者しか生きていけないから、カメレオンはそこに飛んで行くのだ。
(パリ手稿H)
どうでしょう。皆さんの中に「空飛ぶカメレオン」を想像したことがある人はいるでしょうか。
このカメレオンは、色を変えて身を守る保守的なカメレオンとは違います。敵に狙われないような場所にまで飛んでいく、自己の限界をぶち破る挑戦的な努力をしています。
まるで後者のカメレオンはダ・ヴィンチ自身のことを言っているようです。ダ・ヴィンチは、世界でもっとも有名な画家でありながら、建築家、音楽家、舞台演出家、発明家、植物学者、解剖学者、また哲学者でもありました。
彼は、「自分はこういう人間だから」、「自分はこれが専門だから」、「自分は人からこう思われているから」ということとはまったく無縁でした。ひたすら自分が興味のあることを貪欲に満足ゆくまで追求していったのです。
どんな人にも、奥底に得体の知れない可能性が眠っています。
それに気づかずに、一目を気にして、無難な生き方をしているうちに、突然死が私に訪れます。
それは象に食べられたカメレオンのように、
今日も大丈夫と思って葉っぱと同化している、その今日突然やってきてしまうのです。
「自分にはどうせ無理」、「自分はこう定められた運命なんだ」、「周りに合わせて我慢して生きよう」と思わずに、
せっかくの一回きりの人生、天空へ突き抜けて自分だけの境地に達した空飛ぶカメレオンのように、ぜひ新しい自分にチャレンジし、日々胸を張れる人生を生きてもらえたらと思います。
せっかくの一回きりの人生、天空へ突き抜けて自分だけの境地に達した空飛ぶカメレオンのように、ぜひ新しい自分にチャレンジし、日々胸を張れる人生を生きてもらえたらと思います。
