外国特派員からの眺め

外国特派員からの眺め

英エコノミスト誌特派員・日本外国特派員協会理事員のデイビッド・マックニールのブログです。
外国特派員の目から見た日本のことを書いていきます。

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こんにちは、英エコノミスト誌特派員のデービッド・マックニールです。

 

私が所属する日本国際特派員協会(FCCJ)の公式サイトに、「トランプ報道のフェイクとファクト」の著者である立岩陽一郎氏に行ったインタビュー記事が掲載されています。

 

政治と報道に関する立岩氏の意見を掘り下げた記事です。

英語で書かれた記事ですが、報道のあり方についての意見として、是非ご一読いただきたいと思います。

 

↓↓↓立岩氏のインタビュー記事を読むには以下のリンクをクリック↓↓↓

 

Faking ourselves to death

こんにちは、英エコノミスト誌特派員のデービッド・マックニールです。

 

去る6月28日、週プレNEWSに私のインタビュー記事が掲載されました。

日本が抱える「男性の育休取得率の低さ」について、アイルランドで生まれ育った者としての視点、日本で子育て中の父親の視点から、率直に語っています。

 

日本の現状を変えていくための意見のひとつなれば幸いです。

是非ご一読ください。

 

↓↓↓週プレNEWS記事を読むには以下のリンクをクリック↓↓↓

 

週プレNEWS:ユニセフも指摘した日本の「男性の育休」取得率の低さ。その根底には何があるのか?

こんにちは、英エコノミスト誌特派員のデービッド・マックニールです。

遅ればせながら、新天皇の即位を心からお祝い申し上げます。

新しい令和という時代が、日本と世界にとって素晴らしい時代となることを願っています。

 

徳仁親王の新天皇への即位がきっかけで、私は2007年の出来事を思い出しました。

当時皇太子だった徳仁様は、モンゴルへの訪問を控えていらっしゃいました。

外交儀礼に従い、宮内庁は数人の外国特派員を、訪問前の会見に招待しました。

このような会見は、宮内庁にとっては皇族の海外訪問を広報する手段のひとつですが、同時にリスク要因ともなり得ます。

そのため宮内庁は、会見を厳格な管理の下であらかじめ用意された筋書きに基づいて行います。

質問は何週間も前に提出し、承認を得たものだけが許され(承認が下りないことも時にあります)ており、彼らは通常海外の報道関係者たちにはほとんど関心を示しません。

我々は会見場の一番後ろの列が定位置で、質問の順番も一番最後です。

 

しかし徳仁様は、2004年、皇太子妃(当時)の雅子様のキャリアと人格が“否定されている”と記者たちに対して発言なさった会見において、この慣習を自ら破られました。

雅子様の精神状態や、ご夫妻と皇室との関係性については、長い間様々な憶測を生んでいました。

この時の徳仁様のご発言は、その憶測を助長するようなものでした。

 

2007年のモンゴル訪問前の会見の話に戻します。

宮内庁の事前の厳重な審査によって、これらの話題についてや、皇太子がお妃を同伴せずに公務で海外訪問なさる事態が再び発生するかもしれないことついての質問を、我々は思いとどまりました。

ところが珍しいことに、普段は最後の1分まで筋書きの決まっている会見が、この日は終了時刻前に全ての質問が終わってしまいました。

そのため、宮内庁職員は、最後にもう一つ質問を受け付けました。

 

ジャーナリストにとっては、これは宮内庁の堅い壁をくぐり抜けて、皇族に予定外の質問ができる絶好の機会です。

そのため、私はすぐに手を挙げました。

雅子様の健康状態について、もっと知りたかったからです。

宮内庁職員は、私を無視しました。

数秒後、会見に参加していた海外特派員の一人、AP通信のエリック・タルマジも手を挙げました。

宮内庁の職員はとても不快そうな様子で、何かを訴えるような表情を浮かべ、彼の反対側で頭を下げて座っている日本人記者たちの列を見つめました。

長い沈黙の後、ある女性記者が、渋々といった様子で手を挙げました。

「さて、ではレディーファーストにしましょうか」、職員は勿体ぶった口調で言いました。

 

この出来事を通じてわかったことは、彼女は決して、私を”一般大衆ためになる情報を宮内庁から少しでも多く引き出そうと努力している記者仲間”として見ていなかった、ということでした。

彼女は、宮内庁職員を困惑から救い出し、面倒な“侵入者”から守らなければいけないと考えたのです。

 

海外の記者やフリーの日本人記者は、日本の皇室にまつわる制度上のタブーについて、それほど敏感ではありません。

もしかすると、私たちが宮内庁に対して一番問いかけるべきことは、“このような管理のやり方は、あなた方のためになっているのですか?”ということかもしれません。

 

今回の新天皇即位や改元のような時を除き、日本の若者は皇室に対してあまり関心を持っていないように見えます。

より活発で開かれた関係をメディアと築いているイギリス王朝と異なり、日本の皇室と日本国民の間には、距離があるように感じます。

こういった宮内庁の姿勢が、日本の若者が皇室に対して関心を持たない理由のひとつのように思えてなりません。

 

新しい天皇のもとで、令和という時代に、皇室と日本国民がより近しい関係になれることを、私は願ってやみません。

そのために、宮内庁も過去の慣習を見直し、改めるべきところは改めていく方がよいのではないでしょうか。

私は昨年、日本国際特派員協会(FCCJ)の報道企画委員会(PAC)共同委員長に再任されました。

PACはFCCJで開催している記者会見の取り仕切りを担当している委員会です。

記者会見は、FCCJの活動の中でも最も有名なものです。

最近ではカルロス・ゴーン氏の弁護団(当初は大鶴基成弁護士、大鶴弁護士解任後は弘中惇一郎弁護士)と、交渉を行い、ゴーン氏再逮捕前には、記者会見が予定されていました。

 

オンラインでは、PACについて理不尽に思える誤解が多く見受けられます。

一例として、記者会見の出席者、開催方法について議長が決定権を持っているというものです。

PACにはAP通信やブルームバーグ、フィナンシャルタイム、ガーディアンの特派員を含む12人以上の現役記者が委員として名を連ねており、議長2人も含めて全員が平等に1票ずつの投票権を持っています。

どのような記者会見を開くかは委員の投票によって民主的に決められ、議長が独断で決めることはできません。

 

2012年以来、私たちは各省庁や政府の高官にFCCJにお越しいただくことに苦労しています。

例えば、私たちは法務省、法務大臣、東京検察庁に対して、ゴーン事件についてFCCJでの公開討論を依頼しましたが、辞退されました。

また私たちは、閣僚の皆さんも招待しておりますが、誰にもお越しいただけていません。

それは、記者会見(ゴーン氏のもののような)では、出席者は政府に対する批判を行うことが多いと思われていて、FCCJは反政府的、あるいは反日的であると捉えられることが多いためです。

実際にはそんなことはありません。

 

実は、会に対しての財政的支援の大部分は、日本人のFCCJ会員によるものです。

FCCJでは、政府や官庁の関係者が記者会見にお越しいただくことを歓迎しています。

安倍総理を含む多数の首脳、高官が、私が働いている出版社、エコノミスト誌が毎年開催しているフォーラムなどの行事で講演をしています。

彼らが、東京で最もオープンな報道フォーラムであるFCCJを避けるのは、第三者の目を気にしてのことなのです。