犬を飼う理由は人それぞれ違います。
孤独だから一緒にいてくれる存在がほしい人もいれば、犬の無邪気さや忠実さが好きで飼う人もいます。
また、ふとした瞬間に子犬の澄んだ瞳に心を打たれ、「この子を連れて帰ろう」と決める人もいるでしょう。
私にとって犬を飼うことは、決して衝動的なものではなく、ひとつの“縁”でした。
あの日はただ何となくペットショップを覗いただけで、本気で買うつもりはありませんでした。
けれど、店に入った瞬間、隅っこで静かに座っている一匹の子犬と目が合ったのです。
他の犬のように必死に尻尾を振ってアピールすることもなく、ただ澄んだ瞳でじっと私を見つめていました。
その一瞬、まるで「ずっとあなたを待っていた」と言われたような、不思議な感覚に包まれました。
その子を迎えると決めた瞬間、私は心の中で理解していました。
これは単なる“購入”ではなく、運命の選択なのだと。
その日から彼の世界には私がいて、そして私の人生にも小さな大切な仲間が加わったのです。
犬を飼う意味は、ただ“ペット”が増えるということではありません。
仕事から帰った時に全力で迎えてくれること、悲しい時にはそっと寄り添ってくれること、
そして何よりも、純粋な気持ちで「無条件の愛」を与えてくれる存在であることです。
人と犬の出会いはほんの一瞬かもしれません。
けれど、その後の「共に過ごす時間」は一生にわたるのです。