神様が教える脱スピリチュアル!塾

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上記の続きです。


アランは「冬の子」とも呼ばれている。

この星には何千年かに一度やってくる「冬」の季節があり、この時期は人間も含めて全ての生き物が冬眠してしまう。
「冬眠」の技術が開発される前は、星の生き物はほぼ死に絶えていた。 けれど、科学の発達の恩恵で「冬眠」が可能になり、生き延びることが当たり前になった。

アランは、その「冬」に生まれたただ一人の子どもだ。

冬眠中はもちろん出産などできない。 
母体が妊娠したまま冬眠すると、春の目覚め後には死産や流産が8割を超え、無事に生まれたものも重度の障害を100%持ってしまうことから、冬眠前には生殖活動をしないのが、この星では当たり前になっている。
人間以外のあらゆる動物達も本能からそうするみたいだ。

アランはその「星の常識・自然」を超え、不可能とされている「冬」に産み落とされた存在だった。

春、家族が目覚めた時、アランは母親の冬眠用のカプセルの中に守られているところを見つけられた。
母親はカプセルの外に倒れ、死亡していた。 どんな姿だったか表現するのは遠慮しておく。 けっこうひどい状態だった。

夫であるブラン公爵には何が起きたのかまったく理解できなかった。
冬の訪れ前に、妻と子どもを作るような事をした覚えは当然なかったし、妻が他の誰かと通じていたとも思えなかった。 その証拠もどこにも見つからなかった。

果たして、これは誰の子なのか?
身に覚えがないだけに、赤ん坊の眉や鼻の形が自分に妙にそっくりなのがかえってぞっとした。
愛情なんて抱けるはずがない。
「わが子」という実感をもてる状況ではなかった。
みんなが冬眠している「冬」の間に悪魔がやってきて、妻を殺し、そのねぐらを奪いとったととらえる方がずっと簡単だった。
実際、ブラン公爵はアランを殺そうとした。
が、妻の手紙がそれを止めた。
「あなた、この子は星を救う娘です。信じて」


アランの母親は、神であるサリハに仕える「巫女」を多く輩出している名家の娘だったこともあり、この事件はスキャンダラスにあっという間に国中に広まった。


不可能を可能にした「奇跡の子」なのか、それとも母親を犠牲にして誕生した「魔の子」なのか。
人々は好きに噂した。
多くの人々が「魔の子」という判断を下していた。

それは、アランの見た目がこの星の人々とずいぶん違っていたから。

アランの髪の色も瞳の色も漆黒だ。
私達にはなじみの深い「黒髪」「黒い瞳」は、この星の人々には見られない。  
だからこの星のみんなにはアランの姿はすごく・・・すごく異質に写っている。
しかも、アランにはいわゆる「白目」の部分もなく、目全体が黒々としている。 
よく見ると、瑠璃色のような・・・宇宙が広がっているような・・・そんな目。
宇宙というと、きれいなイメージもあるかもしれないけれど、アランの目を見てみんなが感じるのは「虚無」だ。 どこまでも落ちていきそうな深い闇を、みんなは彼女を見る度に感じていた。


アランは、父親を含む家族の誰にも愛されることなく、人々の好奇と悪意の目にさらされながら、「異端のもの」としての人生をスタートした。