2人目はJason(仮名)。ミュージシャンでプログラマーでもある彼の第一印象はパーフェクト。なかなかキュート。笑顔も最高。ファッションセンスもいいし。背も高く。会話もとてもしやすくかなり好印象だった彼。英語が下手でも大丈夫。(当時の私はぼちぼち英語しゃべれたけども、まだまだって感じ)そんなことも一切気にしない本当にとっても優しい彼。しかも、適当に遊びたい女子を探しているバチェラーがニューヨークにはとてつもなく多い中、珍しく「長く付き合える彼女が欲しい。(真剣な眼差しで)」とJ (ここからはJと呼ぶことにする)という、奇跡に近い出会いだった。やっと彼氏ができるーーーと小躍りしたのも束の間。

 

 Jと出会ったのは冬だった。Jが連れて行ってくれたレストランは高級レストランばかり。食のセンスもとってもよかった。でもね。3回目のデートでまさかのドン引き。なんと、彼、「禿げていた」ポーン 

1回目、2回目と会ったときはおしゃれなニット帽をかぶっていたため、気づかなかった。全く。しかも完全に剃っているならまだしも、私が腹が立ったのはその中途半端に、未練がましく「1本、2本」生えているその感じ。かなりカッコ悪い。だんだん彼に腹ただしささえ感じてきて、彼の方も最初の頃と比べて私の様子が随分変わった事にいい加減気づいたよう。私は我慢できず思わずJに唐突に言った。

 

Betty :「完全に剃った方がいいよ。中途半端に残しておくのはカッコ悪いからやめて」

 

J :「せっかく生えているから残しておきたい。。。」

 

私の中で何かがブチ切れたムキー 髪がないのが問題なんじゃなくて、その腹が据わってないお前の中途半端な根性が腹が立つんだよ!!!!!!!(←今振り返ると私って一体何者?って感じなんだけど、まあそこは置いといて)

 

この事件が会ってから1週間ほどJと連絡をとらなかった。連絡が来ても返信しなかった。

そして彼が「お願いだから会ってくれ、見せたいものがある」と言ってきたのでしぶしぶ承諾して彼と久しぶりにデートをした。

 

そうしたらなんと彼の頭に残っていた数本の髪の毛がなくなっていた。そう。会っていない間に色々考えたらしい。あんなに抵抗していたのにとうとう剃ってくれた。そして恥ずかしそうにその剃った頭を私にみせてきた。いや、思った通り似合ってたし、素直にものすごく褒めた。そうするととっても喜んで、その後は友人達からも沢山褒められたらしく、しまいには「やっぱり坊主はいいなー」なんて調子のいい事言ってきてた。そしてこの事件があってからJの私への忠誠心が増した(?)事はいうまでもなく。

 

ただ、この辺りから彼に対する私の暴言暴動(?)が始まってしまった。髪の毛を潔く剃った点は褒めた。でもやっぱりもう何もリスペクトできなくなってしまった。ミュージシャンだからか、たまになんだかエキセントリックな感じになるのも許せなかった。Jがお気に入りだと言いながら一度も着たのを見たことないオレンジのシャツもどうしても許せなかった。一度こっそり捨てようとしたらさすがに温和で弱気な彼も怒ってきたからそこは勘弁してやった。出会った当初はあんなに可愛い可愛いと思っていたのに、ただ女々しいだけの男にしか見えなくなった。それでも頑張ってなんとかしばらく会い続けた。

 

「女々しいけど、彼みたいに優しくて素敵な彼はもうに度といないかもしれない」と自分に毎日言い聞かせた。

 

そしてある日Jが、「僕、道を歩いてるとよく知らない人にイチャモンつけられるんだ」としれっと言ってきたので、

 

Betty :「本当に?私一度もそんなことないんだけど、なんで?そういう時どうするの?」

 

J : 「いや、普通に逃げるか謝るよ、だってこわいし。。」

 

(ブチムキー

 

「お前は少しは男らしくしろよーーーー!!!!!!逃げずに言い返せよ!!!!私だってこんなちんちくりんのアジア人女子なのに一度もそんな知らない人にいちゃもんなんてつけられたことない!!!!お前はそれでも男か??????!(怒)」と当時下手くそな英語で、でもその勢いはすさまじかったんだろう。

 

Jが目の前で大泣きし始めた。それでまたびっくりしたけど怒りが収まらず

 

Betty : 「泣くなーーーーーー!!!!(怒)」

 

J :「男だって泣いてもいいじゃん(泣)自分の感情を表現する権利は僕にもあるんだ(号泣)」(今振り返ると、確かに真顔

 

人生で初めて男を泣かせた。

 

それ以来心に強く誓った。ミュージシャンとは二度とデートするまい。と。

今振り返ると、Jも少しかわいそうだったなーと思う。遠い噂でその後Jがヨーロッパへ移住したということを聞いた。今頃優しいお姉さんと幸せに過ごしていることをここから祈る。でもね、起こることは意味があるからね。(てへ)