卍(まんじ)って地図記号で言うところの寺らしいけんど、なんなんだろうね~┐(´д`)┌
一説によれば、
調子こいた優闇さんのことだとか……?
仲間との絆のことだとか、
結局、意味もない。とか……
意味ないなら使うなよ!
そんなわけで、本題いっくよ~ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ
【新説桃太郎!】
とおい、とおい、未来。車は空を自由に飛び回り、高さ三00メートルを超える超高層ビルが立ち並ぶ。街にはロボットが溢れかえっていた。たとえば、ある子どもが手に持っていたソフトクリームを地面に落とすと即座に清掃ロボが出動し、瞬く間に綺麗にしてしまう。またある時は、燃え盛るビルに救出ロボが突撃し、逃げ遅れた人を救出してみせていた。猫型なんちゃらロボットなども登場し、某家庭ではロボットが出来損ないの小学生の子守りを担当した。人々の生活を支えるために日々、新たにロボットが製造される。
そして今、新たなロボが誕生しようとしていた――
『ジジッ……製造完了。製造完了。OBAサン、応答セヨ』
自動破壊ロボ製造マシン【MOMO】から通信が入った。
「ご苦労。今度のマシンの性能データを送ってくれ」
真っ白い白衣を身にまとい、白髪か混じった初老の男性が通信機に向かって呟いた。
この男性の名はOBAという。この破壊兵器生産研究ラボの責任者であり博士だ。
『了解。データ送信スル』
MOMOからデータが送られてきた。OBAはざっと性能データに目を通すと頬を緩ませにやりと笑った。
「最高にクールなロボだ。政府の奴らの要望以上の出来だ。MOMOよくやった!」
『オ褒メニ預カリ、光栄デス』
ニタニタと笑いを浮かべる彼のデータに記載されたロボは以下のようなものだった。
マシン名、MOMO―TA六。全長二五〇メートル。丸い円を描いたかのような卵のような形状。車輪はキャタピラ式を採用。兵装は、二五㎡バルカン四門。レーザー光線二門。迫撃砲一〇門。火炎放射器。ロケット弾。誘導ミサイル。核の攻撃にも耐えられる圧倒的な装甲。極めつけは街はおろか、山すらも一撃で吹き飛ばす威力をもった主砲の超電磁砲が二門。秘密兵器の強制睡眠光線のKIBIDANGOだ。
それは破壊マシンと呼ばれるモノ。一昔前の時代ならば、たった一機で米国を相手にして滅ぼせるほどの火力と防御力を持った究極の殺戮マシンであった。
始まりは彼等が起こした襲撃だった。
宇宙から巨大な円盤型飛行物体が【ONIGASIMA市】上空に現れたのだ。人々は宇宙人の襲来に戸惑いパニックに陥った。
彼等は次々とビルをレーザー光線で焼き落とし、円盤から降り立っては光線銃を人々に向けて虐殺した。奇襲と街の人々を人質にとられていた人類は抵抗もろくにできず、市を占領されてしまったのである。
彼等は自らの種族を【オニ】と名乗った。オニの要求は、襲撃の際に生き残った人々の命と【市】との交換であった。市を自分たちの国家として認め、地球に住まわせてもらうこと。
国連は揉めに揉め議論した結果、交渉に応じることにした。だが、オニたちは交渉を自分たちで持ちかけておきながら、それを裏切っていたのである。
実は、生き残った人々も皆、殺していたのだ。その情報を掴んだ人類はもはや交渉の余地なし。全戦力を持ってオニの根絶を決定したのだった。
過去に存在した東京、世田谷区ほどの広さを持った巨大な研究開発ラボから、けたたましいサイレントと共にドームが開き、キャタピラの轟音が鳴り響く。やがて、巨大な主砲や副砲などの兵装をぶら下げたMOMO―TA六が姿を現した。
「お願いだ。娘の仇をうってくれ!」
「非常なオニ共に神の鉄槌を……!」
「桃太郎よ、オニを討伐してくれ!」
出撃するMOMO―TA六に人々が口々に声をかける。そのロボの名から、日本昔話の桃太郎と呼称する者もいた。
これは、お供の猿、犬、雉はいないけれど、紛れも無く昔話通りの桃太郎による鬼退治である。
「オニ殲滅作戦開始スル」
MOMO―TA六のスピーカーから人々に向けて高らかに宣言し、進撃を開始した。
【ONIGASIMA市上空、UFOのとある船室】
「おいおい、交渉を台無しにしたのは、やっぱまずかったんじゃねーか?」
「いやいや、お前等みんな賛成してたじゃないかよ! 何をいまさら‥…」
UFOの一室では、角を生やした青色や赤色、緑色などカラフルな人肌をしたオニたちが作戦会議を執り行っていた。一室の中央には劇場スクリーンほどの大きなモニター画面。そこには先ほど進撃を開始したばかりの人類最凶兵器MOMO―TA六が映し出されていた。
「あぁーあ、一昔前に世間でささやかれたキムタクみたいにタイムリープ能力があればなぁー。お前等を止めたのによ」
「おい、馬鹿。どっちにしろ、クサナギは脱ぐし、SMAPは解散するんだから意味ねーよ! もっと真面目にアレの対策を考えろ」
「「それなー」」
オニ達は焦り、混乱に陥っていた為、好き勝手に意見を口走っていた。
「いっそ、白旗あげてこのまま逃げ帰ってはどうだろうか?」
「バカ野郎! こっちからケンカを吹っ掛けて、いざ戦うとなったら逃げ出すとかどんなチキン野郎だよ」
「でもよ、見る限り奴さんは空を飛べなさそうだし。圧倒的優勢はこっちにあるだろ」
「「お前、天才か!」」
こうして、オニ達は妙に締りがない議論の末、迎撃することにしたのである。
MOMO―TA六は道行く道をただひたすらに走行していた。現在、民家や商業施設などは一切なく無人地帯。ONIGASIMA市まであと一万キロのところまで差し迫っていた。
「目標マデ一万キロ。ミサイル発射スル」
巨大な体躯の砲門の一部が轟音を鳴らして動いた。
「目標ONIGASIMA市上空飛行物体。ミサイル発射」
球状の体躯に取り付けられたミサイルポットから弾道式誘導ミサイルが射出された。ミサイルはぐんぐん速度を上げながらまっすぐUFOに向かっていく。
UFOは慌てた様子でジグザグに旋回を開始し、回避行動を取るも、誘導ミサイルはぴったりと後をつける。そして、着弾した。
遠くの方から爆音が鳴り響き、少し遅れて爆発による風がMOMO―TA六を襲った。UFOの一部から黒煙があがる。
「おい、なにがこちらが優勢だ。追尾型の飛び道具持ちとかチートかよ」
「それより被害状況はどうなんだ?」
「運航には問題なし。でも、あちゃー、レーザー砲が一門やられちゃってるわ」
「……ならまだやれるな、こちらも反撃しようぜ!」
オニ達は強烈な先制パンチを浴びていたが心は折れていなかった。
「いっそこっちも奥の手、必殺ボム出そうぜ!」
「おいおい、アレ使ったらこのあたり一体汚染されちまうけど?」
「出し惜しみして負けるぐらいだったら使っちまえ!」
「「せやな」」
燃焼を続けるUFOが急上昇を開始した。雲を突き抜けMOMO―TA六に向けて前進する。空を駆け抜け、あっという間にMOMO―TA六の上空まで辿り着く。
「「やるなら今だ! やっちまえ」」
オニ一同は叫び、必殺ボムと呼ばれた核爆弾を投射した。
MOMO―TA六は動きを止め、砲塔を真上に向けるだけだった。
爆弾が爆発した。その瞬間、大地を引き裂くような衝撃波が巻き起こり摂氏一万度を超える熱風の嵐。強大過ぎるエネルギーの塊が地上を襲ったのだ。それはさながら、もう一つ太陽が生成されたかのようである。形成されるキノコ雲。オニたちは皆ゲス顔で『勝った』と思った。
だが、モクモクと消える気配が一向にしない爆炎と煙の影からソレは現れた。
「目標、頭上ノ飛行物体。超電磁砲発射スル」
怒れる煙と炎の中から超高圧エネルギーが放出され、一筋の光が分厚い煙を突き破りUFOに向かって一直線に向かっていく。
「熱源地帯から高エネルギー反応の感あり⁈ 避けろ!」
左に傾けたUFOの真横を超電磁砲がスレスレで通り抜ける。辛くも回避に成功したのであった。
「おいおい、ふざけるなよ……。俺らはガンダムと戦ってるんじゃないぞ」
「誰か赤いやつを呼んで、ザクを起動しろ!」
「バカ野郎! そんなものねーよ! 現実逃避してるんじゃあない!」
それが、オニたちが交わした最後のやりとりであった。
次の瞬間には誤射軌道の修正を終えたMOMO―TA六の主砲がUFOに直撃し、光に飲みこまれていったからである。
「第一次殲滅作戦成功。第二次作戦ヲ遂行スル」
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かくして、オニはMOMO―TA六の大活躍によって退治され、地球には再び平和が訪れたのである。
ちなみに、
「おらおら青汰! キビキビ働け!」
「へい、親方! すいやせん」
親方と呼ばれた大工の職人は、角を生やし、青色の肌をしたオニを叱りつけた。
ONIGASIMA市に残っていたオニの残党たちはMOMO―TA六の強制催眠光線KIBIDANGOを浴びて、従順な労働者となるのであった。
猿、犬、雉? そんな子たちはいなくてもオニは桃太郎一人で退治できる。そんな新たな桃太郎伝説が人々の間で語り継がれるようになったのはあとの話……。
《卍卍(おわり)》