前に書いた記事で、僕は年齢=彼女いない歴みたいなことを書いたが、実を言うとそれは嘘である。

 

こんな僕にも今まで生きてきた22年間の中で一ヶ月だけ彼女がいた時期がある。

しかし、恋愛というにはとてもお粗末すぎる経験だったので、自分の中では恋愛経験としてカウントしていなく、年齢=彼女いない歴としている。

 

相手の子との出会いはバイト先だった。

僕が先輩で向こう(以下、Aと呼称)が後輩。Aの年齢は僕の2つ下。

 

バイト先のアルバイトメンバーの中では、大学が唯一一緒ということで、共通の話題があり、最初から話が弾んだ。

 

数回シフトが被ったあと、バイト終わりに駐輪場にて、Aに「一緒に帰りませんか?」と声をかけられた。

 

そもそも大学が一緒で帰る方向は同じなのだから、わざわざ言わなくても話していれば自ずと一緒に帰る流れになるのに、わざわざそう言ってくれるなんてすごく嬉しかった。

 

そうして、その日からAとシフトが被るたびに一緒に帰ることになったのだが、Aはなぜか毎回かなり長い帰り道を自転車を押しながら帰っていた。

 

僕は最初こそは、Aが自転車を引くスピードに合わせ、自転車が倒れるか倒れないかの瀬戸際のスピードで走っていたのだが、Aが一向に自転車に乗る気配を見せないので、諦めて僕も自転車を押すようになった。

 

Aが頑なに自転車を押す様子を見て、僕はこう思った。

「自転車を押すことで時間を伸ばし、俺といる時間を増やそうとしている?」

「この子…まさか俺のことが好きなんじゃ?」

 

しかし、僕はこれまでの人生で、何度もそんな勘違いを繰り返してきており、そんな考えをして、最後には勝手に失望するのは、もうよしたかったため、そんな考えはすぐに頭の片隅へとしまいこんだ。

 

一方で僕はAのことをどう思っていたのか。好きか嫌いかどちらかで答えろと言われれば好きだった。

 

でもそれは「めっちゃ付き合いたい」とか、ふとした時にAのことを考えているというわけではなく、うっすら好きというか、多分男性諸君なら分かってもらえると思うが、常に身の回りに何人か居る、もし付き合えるなら付き合ってみたい女の子みたいな感じだった。

 

そして、Aとの初対面から約二ヶ月が経ち、気がつくともう1年が終わろうとしていたとき、状況は一変した。

 

その日はいつも通り、Aと一緒に自転車を押しながら帰り道を歩いていた。そして、Aとはその日が年内でシフトが被る最後の日で、年末年始はお互いに実家へと帰省するため、しばらく会うことはないという状況だった。

 

お互いに帰省する時の話やらをし、最後にお互い「良いお年を」と言って別れた。

 

家に帰り、しばらくゆっくりしていると、Aから電話がかかってきた。

 

Aから電話がかかってきたことなんか今まで一度もなかったため、めちゃくちゃびっくりした。

 

この時の僕の心情は以下の2つ

1 え、なんか事故とかヤバいこと起きた?

2   もしかしてほんとに俺のこと好きで告白の電話?

 

困惑しつつも、いざ電話に出てみると「もしもし…夜遅くにすみません。お話ししたいことがあって…」と申し訳なさそうな様子のA。

 

しかしそこから先はずっと「うーん…うーん…」という具合で、中々話し出さずにずっと何かを切り出せない様子でいた。

 

「…これ…まじで俺告られるのでは?」と、とっくに頭の片隅へと追いやった考えが再び湧き出てきた。

 

その後も2、3分「うーん…うーん…」とAはうなり続け、ついに覚悟を決めた様子で「あの…」と切り出し始めた。

 

「私、〇〇さん(僕)のことが好きで…もし迷惑じゃなければ付き合ってもらいたいです…」

 

!!!!!!!

きょぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

当たった!何度も勘違いし続けてきたけど当たった!今回ばかりは!!!

 

とは言ってもまだデートもしたことがない…相手の素性やお互いの相性なんて全く分からない…好きとはいえど、付き合いたいというほどの好きではない…いますぐ付き合ってもいいものなn…

 

「いいよ!付き合おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてAとのお付き合いが始まったのである。

 

先ほどの電話の続きで、次の日にご飯を食べに行く約束をし、次の日にファミレスで夜ご飯を食べた。(初デートがファミレスかよと言いたい方もいるかもしれないが、僕の住んでいる地域で車のない学生の男女がいけるご飯どころといえばファミレスくらいなのだ。)

 

ご飯を食べ、かなり長い時間の談笑をした後、Aをファミレスからかなり離れたところにある家まで送り届けた。

 

送り届けている途中で、もしかするとこのまま「上がっていきませんか?」とかあるか!!??と考えていたが、家の前までいくと、Aは「良いお年を」と言い、案外さらっと家の中へと帰っていった。

 

そしてAの家から自分の家まで帰る、またまた長い帰り道で考えた。

 

「うーん…俺…ほんとにあの子に好かれてんだよな…?なんか何も感じないというか…手の一つも繋ぐそぶりを見せなかったけど…」

 

今まで恋愛をしてこなかった僕には向こうが一体何を考えているのかがさっぱり分からなかった。もしかすると僕と付き合ったのは、ただ「彼氏」というステータスが欲しいがゆえの行動なのかもしれないと疑いもした。

 

そして、僕はひとつの決断をした。

僕もAのことを好きになれるよう努力しようと。

 

本来であればその日が年内に会う最終日であったが、後日「年内にもう一度会いたい」と連絡をして、なんとクリスマスイブに会う約束を取り付けた。けれどお互いに夜からバイトがあるため、昼から夕方にかけての少しの時間会うということになった。(Aはバイトを掛け持ちしており、その日のAのバイトは僕と同じバイトではなかった)

 

しかし、この時点ですでに分かってしまったことがある。

 

Aは普段、全く連絡をとってこないし、返信速度も超遅い。あと文章が単調で怖い。絵文字とかも一切使わない。

会うと普通に話せるのだが、会っていない時にコミュニケーションが全く取れない。

 

一応、僕が好意を向けられている立場にあるため、僕から積極的に連絡するのもなんかおかしいと思い、あまり僕からは連絡しないようにしていたが、あまりに連絡がない。

 

なんだろう…このもどかしさは…

まじで何考えているのかが分からない…

 

そして来たるクリスマスイブ…僕らは事前にボーリングをしに行く予定を立てており、近くにあるボーリング場で待ち合わせた。

 

会うなりAは「もぉ〜疲れたぁ!」と連呼。この時点で僕はかなりカチンときていた。

 

お互いに時間がない中、時間をつくって会っているのに、会うなりそんなこと言うか?。「疲れた」とかデートで絶対言っちゃいけないだろ?仲良い友達と遊ぶ時でさえ言わない方がいいのに。

 

そう怒号を飛ばしたい衝動を何とか抑え、ボーリングの受付前まで行ったのだが、受け付けをする直前でAが「今日の夕方までに終わらせなきゃいけない課題がある」と言い始めた。

 

Aはこの後バイトがあるため、今やらないと夕方までには間に合わないという状況だった。

 

僕が「じゃあ課題やる?」というとAは「やる」と言ったので、僕らは受付から踵を返して、ボーリング場からは少し離れたところにある図書館に行くことにした。

 

図書館に入るとAは椅子に腰掛け、パソコンを開いて課題を始めた。

(なんでパソコン持参してんの?)

 

暇になった僕は、吉野弘という詩人の詩集を本棚から持ってきて読んだ。

 

吉野弘「日々を慰安が」

 

日々を慰安が

吹き荒れる。

 

慰安が

さみしい心の人に吹く。

さみしい心の人が枯れる。

 

明るい

機知に富んだ

クイズを

さみしい心の人が作る。

明るい

機知に富んだ

クイズを

さみしい心の人が解く。

  

慰安が笑い

ささやき

うたうとき

さみしい心の人が枯れる。

 

枯れる。

 

なやみが枯れる。

 

ねがいが枯れる。

 

言葉が枯れる。

 

 

言葉が枯れる。何だこの状況。クリスマスイブに図書館って。この時点でこの子とはもうダメだとなんとなく確信した。

 

そうして僕が本を読んでいる間にその子は無事に課題を終えたらしく、お互いのバイトの時間が近づいてきたということもあり、図書館を後にし、別れた。

 

そしてその後、その子から連絡が来ることはなかった。

 

 

 

 

年が明け、友人2人(男1女1)に事の顛末を話すと「今「会いたい」って連絡してみて」と言われた。

 

友人2人によると、女の子は意外とこれに弱いらしい。

 

正直、Aのことが好きになれたのかというと、なれなかった。でも、今の僕には圧倒的に恋愛経験が足りない。だからこれもいい経験だと思い、できる限りのところまでは付き合ってみようと思った。

 

そして、お酒を飲んでいたということもあり、その場の勢いで「会いたいな」と連絡してみた。

 

.....しかし返信は一向に返ってこず、2、3週間後にやっと返ってきた返信がこれだ。

 

「突然だけど別れよ」

 

そして立て続けに「価値観合わないし、こういうの遊びでもよくないと思う」というメッセージと共にスクリーンショットの画像が送られてきた。

 

そこに写っているのは、とあるインスタグラムのアカウント。プロフ欄には「ヤリサー幹事担当」と書いてある。

 

これは紛れもなく、僕が高校時代に友達とふざけてつくり、フォローしていたアカウントだ。

 

どうやらAは僕をインスタでフォローしていたため、よりにもよってそのアカウントがおすすめに表示されてしまい、気になってアカウントを見てみると、僕がフォローしており、僕に嫌悪感を抱いたということだ。

 

そして最後に「短い間でしたがありがとうございました」というメッセージ。

 

僕の返信を待たずに勝手に話を展開して言い逃げ。僕も最後にボロカス言ってやろうかと思ったけれど、どうせもうブロックしてるだろうからと、胸に無限に湧き出てくる怒りか悔しさかもどかしさかよく分からない感情をグッと飲み込んで「分かりました。さようなら」とだけ送った。

 

やっと僕にも恋人が出来たと思ったのに、また元通り…それどころか、またやり場のない感情と苦い思い出を抱えて戻ってきた。

 

はぁ....僕の人生には苦味しかない....

(なんかカカオ100%のチョコレートみたい。もはやカカオそのもの?)

 

僕は僕なりに頑張っているつもりなんだけどなぁ...

 

 

 

 

その後、Aはバイトをずっと休んだ。

休む理由は、課題が忙しいためとのことらしいが、きっと嘘だろう。僕と会いたくないからだ。

 

そして最終的には転校するという理由でバイトをやめた。

 

僕はこれも嘘だと思っていたが、これはどうやら本当だったらしい。その後、その子のことを一度も大学で見かけていない。ほんとに転校したのだろう。

 

バイトを辞めた理由は間違いなく僕だが、転校の理由は分からない。さすがに僕がいるから転校というのはないだろうし。

 

後日、このことを大学のゼミの飲み会にて話すと、かなりウケた。そして向こうの子が変わっていると言ってくれるやつがいて、少し救われた。たしかにちょっと変わった子ではあった…

 

 

 

 

苦い経験ではあったが、学んだことがいくつかある。

 

まず、変わった子とはいえど、僕のことを好いてくれる女の子がいるということだ。大学に入って以来、あまりにモテなさすぎて、すっかり自信喪失に陥っていたが、この一件で少しは自信を取り戻した。

 

そして、もし恋人ができたのなら、連絡は毎日取ろうということだ。

僕は前まではもし恋人ができても、面倒だからあまり連絡は取りたくないと思っていたけれど、この一件以来、恋人とは毎日少しでもいいから連絡をとることが大事だと思うようになった。日常の些細なコミュニケーションが信頼へと繋がっていくはずである。

 

 

 

あれからもうすぐ一年経とうとしているが、そういえば今年、女の子と一回もデートをしてない。

就活も終わり、あと少し踏ん張れば卒論も落ち着く。

そしたらデートしてえなぁ.....