フラッシュバックというものがある。
とてもつらい経験を乗り越えたいと思っているのに、『これは危険だから同じ目に合わないためにも忘れてはいけない』と身体が反応し、ふいにその当時の記憶が呼び起こされるのだ。
事故や災害などのトラウマによるフラッシュバックも多いと思う。
しかし、パートナーに裏切られたことのある人も、大半がこのフラッシュバックを経験しているのではないだろうか。
当然だ。
愛する人の『裏切り』は心にナイフを刺されたのと同等だからだ。
ただ、これはキツイ。
それは突然やってくる。
食事の用意をしているとき、テレビを見ているとき、車に乗ったとき…
ふいにその時に戻される。
彼女の手料理はおいしかっただろうか。このテレビを一緒に見たこともあるのかな。助手席に座ったとき彼女はどんな気持ちだったんだろう。
全部想像でしかない。
でも心の中がものすごい勢いで渦巻くのが自分でも分かる。
私は大声で叫び、怒り、夫を罵倒する。
ある時はうずくまり、私がダメだから裏切られても仕方ないんだ…泣き崩れる。
夫は私を見る。
出来ることはただひとつ。
怒っていようが、泣いていようが、その肩を抱き、手を握り、『悪いのはキミじゃない。オレだ。』と落ち着くまで言い続けることだ。
再構築を決めたとき、きついのは裏切られた方だけじゃない。
裏切った方もパートナーのこの思いを、死ぬ気で受け止めなければならないんだ。
自業自得、と言われればそうだろう。
でもこれは2人でしか乗り越えられない。
どちらか一方の努力だけでは終わらない。
だって『もう一度やり直そう』と決めた時点で、2人が目指すゴールは一緒なんだから。
キツイ。
泣きながら、夫の腕の中で思う。
キツイ。
夫も少し泣いている。
キツイ。
でも私たちは
まだ
夫婦だ。