よくスケート選手はみなバレエをやってる、とか言うが、バレエを「やってる」のと「習得してる」は意味が違う。
長くバレエを習ってる人ならわかると思うが、バレエは上達に時間がかる。大人スケートが3年位でシングルジャンプを跳んだり、スピンでクルクル回ったりするのに対し、バレエは3年ではようやく「わかってきた」という感じだろう。
大人から始めて上手になった人はみな10年以上のキャリアだし、それも週に3回レッスンとか、かなり入れ込んでる人達だ。となるとスケーターはやはり氷上の練習を第一と考え、バレエは週1位で補助練習として取入れる程度になるのはうなずける。
だからスケーターのバレエの練習シーンがテレビで放送されると「スケーターはバレエ上手いのかと思ったら下手だった」とか言ってくる人がいるが、それはしょうがないのだ。
バレエを習得しスケートに活かしてる選手は少ない。しかし唯一バレエもスケートも英才教育を受け、どちらもマスターした選手は男子ではエマニュエル・サンデュ(カナダ)をおいて他にいない。
トリプルアクセルを陸上と氷上でご覧あれ。
2度目のジャンプの後のアームスの美しいこと!
以前バレエの先生に「スケート選手ってなんでジャンプやスピンの時あんなに肩が上がるのかしら・・・」と言われ「すごい遠心力がかかるから仕方ないんです」とか言っておいた。
しかしこのサンデュを見ると肩はまったく上がってない!
よくバレエとスケートはメカニズムが違うから腕など上半身の動きだけ取り入れればよい、というスケーターもいる。しかしバレエのアームスは習得に何年もかかる。ちょっと通って得られるものではない。しかしコーチ達は「バレエやる前よりかはちょっとでも美しくなりさえすればよい」と言う。
確かにサンデュの様に上半身の動きと腕が連動して動くようになるのは何年もの積み重ねの賜物だと思う。
バレエの所作の美しさは後付けではなく、何年もかかって養われるものなのだ。