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金正日総書記の急死によって若く未知の指導者、金正恩氏に委ねられた北朝鮮体制。各国は今後の動静見極めに力を注いでいるが、中国の北朝鮮情勢分析の権威は、故金日成主席の生誕100年の記念祝賀となる4月15日が過ぎ、米韓の大統領選挙まで半年を切る今年6月以降、体制引き締めのための挑発と外交を活発化させると“予言”。その際に、内政など3つの課題をどう処理するかが、1つの山場との見方を示している。(ソウル 加藤達也)

 金正日総書記の死去発表後、中国メディアで見解を発信している中国共産党中央党校国際戦略研究所の張レンキ教授は、中国共産党機関紙、人民日報傘下の雑誌「環球人物」で、金正恩体制を待ち受ける重大課題を(1)軍の安定(2)権力腐敗の排除(3)民心の掌握、経済の発展-だと整理している。

■第1の試練「軍人の心の安定維持」

 北朝鮮は、金総書記の死去発表直後から「先軍政治」の継承を繰り返し強調。金正日総書記の中央追悼大会翌日の昨年12月30日、党中央委員会政治局会議を開催し、正恩氏の朝鮮人民軍最高司令官就任を決めた。

 父親の金総書記がこのポストに就いたのは公式デビューから11年以上たった1991年。デビューからわずか1年3カ月で就任した正恩氏の就任は極端に早く見える。

 北朝鮮の憲法では、最高司令官は事実上の国家元首である国防委員長が兼職すると規定しており「軍の掌握は既に完成している」(韓国政府系研究機関幹部)とみられる。

 先軍政治体制では軍を掌握した者が国を治めるが、金総書記は軍を統帥すると同時に軍に支えられる存在でもあり、体制と軍は持ちつ持たれつの関係だった。

 軍は金総書記の体制下で権益を増大させ発言権を強めていた。軍にとって権力世襲で最大の不安は「軍事優先体制が継続されるかどうか」の一点だ。

 北朝鮮が金総書記の死後「正恩氏=金総書記」というメッセージを発信。最高司令官に就任した後継者も先代同様に軍をこれまで通り優先する姿勢を示した。これによって部隊指揮官クラスの軍幹部の心を安定させ、部隊指揮官の不安定感からくる軍事クーデターの危険性を排除した-というのが張教授の分析だ。

 韓国の専門家は「軍を最大の支点として構築された後継体制は今のところ正恩氏の元で一枚岩だろう。だが、この安定感の維持には外交的な強硬姿勢と軍への厚遇維持という両立が難しい課題をこなす必要がある」と指摘している。

■第2の試練「権力機構の腐敗除去」

 北朝鮮では軍や秘密警察である国家安全保衛部などの権力機関が社会の隅々を監視、統制している。ところが、絶大な権力を長く持ったことでこれらの権力機構が腐敗の当事者として暗躍するようになってしまった。金総書記も生前、この問題を深刻に考えていた。なぜか。

 「権力機構内で賄賂を得るための権益拡大競争が激化し、最終的に金王朝への忠誠心が揺らぐ恐れを感じていたのではないか」(韓国政府系研究機関幹部)

 金総書記は、その問題解決を正恩氏に課した。

 後継者デビューした2010年11月以降、正恩氏は軍に特別治安機関「人民軍内務軍」を創設。軍や国家安全保衛部、治安機関の人民保安部なども取り締まる権限を与え、全国規模で激しい腐敗根絶に乗り出し、現在全国規模での内偵・審査が続いている。

■第3の試練「経済向上と民情の掌握」

 北朝鮮では正恩氏の公式デビュー後の2010年10月、党創建65周年の祝賀期間中、1990年以来で最大規模の特別配給を全住民に実施。咸鏡北道会寧市では政府が1人当たりコメ450グラム、正恩氏の胸像付きの酒1本、大豆油100グラムなどを配ったとも報道されている。

 また、正恩氏はデビュー後、軍備蓄用に徴収される「軍糧米」を廃止するなど、「民心重視」の姿勢を強調している。

 そして金総書記の死後も、北朝鮮メディアが魚の配給を伝えるなど正恩氏主導で住民生活を意識したとみられる施策を実施。ソウルの北朝鮮専門のインターネット新聞「デイリーNK」は最近、北朝鮮当局が全国の行政組織に旧正月に当たる今月20日から5日分の配給を実施するよう指示したと伝えた。

 金日成主席と金正日総書記は北朝鮮の住民に「肉の入ったスープと白米のご飯」を食べ、瓦ぶきの家に住み、絹織物を着る生活レベルを約束しながらついに果たせなかった。

 韓国の情報筋は「政権が軍を完全掌握している北朝鮮では住民蜂起による政権転覆の可能性は小さい」と指摘する一方、経済の自立発展を意味する「強盛大国」のスローガンを引き継いだ後継者として、それを実現して住民生活を向上させなければ、内外に政権能力に対する不信感を与えることになる、との分析を示した。

 日米韓などによる経済制裁が実施されるなか、北朝鮮は経済発展の足がかりを中国に求めている。しかし、北朝鮮に改革開放型の経済導入を求める中国に対し、北朝鮮指導部は「体制の崩壊につながる」として警戒感やためらいが大きい。

 北朝鮮が経済発展を求めるならば、核兵器開発を放棄して日米韓との融和を進めるか、改革開放経済を受け入れて中国との関係をさらに深めるかのどちらかしかない。

■半年後に重大転機?

 現在北朝鮮は、金総書記が描いた精密な地図に沿って、比較的安定して進んでいるように見える。だが、やがては正恩氏自身が外交、内政の方針を決めなければならない未知の領域に踏み込まなければならない。

 各国はその政策動向を見極めて対北政策を決める。外交、軍事で各国との軋轢(あつれき)が表面化するとすればその時だ。張教授は「北朝鮮の権力安定期間は半年前後。そのときのかじ取りが、北朝鮮と国際社会の今後の命運を決める」と分析している。