平安時代に「竹の国」と呼ばれた郷がありました。そこに立梅用水が流れています。
郷全体が梅の香りで満たされています。それは春の香です。忘れかけていた懐かしい香です。山眠り、山凍る冬。大陸からの空っ風は否応なしに土の香を伴って容赦なく吹きます。その風は凪いで、春風に変わると鼻の奥底が大きくなったようなつんとした香が漂っています。そして、人はハッと梅の香だと気づくのです。
春の日差しを受けてまっ白に輝いています。
満開なのでしょうか。それでもまだまだ蕾があるので梅の花はもっともっと密になるでしょう。あんなに寒かった季節はウソのよう。日に日に太陽高度は高くなり、春は爛漫へと舵を切りました。