雨上がりの棚田 昨夜からの雨の恵みの下で・・・ | バイカルアザラシのnicoチャンネル

バイカルアザラシのnicoチャンネル

 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 

 台風一号が紀伊半島沖を通過して温帯低気圧になりました。昨夜からの雨で櫛田川支流の風呂屋川の水流は多めです。白猪山の麓には深野の棚田があります。

 

 夏明、長野、神路山、鍛冶屋瀬など上郷といわれる地区が遠くに見えています。ここが「石の芸術」深野棚田、日本の棚田百選に指定されています。宝暦三年、白猪山が大崩落しました。一ヶ月の間雨が降り続き、上郷集落は海になったと江戸時代の記録にあります。そして、大崩落。集落は壊滅しました。しかし、人々は崩落した花崗岩で石垣を積み、ふいごで土を盛りました。棚田の収穫高は災害前の1.5倍になったと言います。

 

 こんな急斜面なのに海になるとはにわかに信じがたい。そう思われる方もいらつしゃるかと。しかし、昭和になってよく似たことが起こりました。そのときは、高垣から水が屋根に向かって滝のように流れたと言います。いまでも学校の教室大の花崗岩の塊が畑に転がっているのを見ると、宝暦の災害記録が決して大げさな表現にも見えてきません。

 

 ここから見ても花崗岩の高垣は本当に石の芸術です。しかも、この棚田はここに住んでいる人たちが耕す現役の水田なのが特徴です。人々は、祖先が開拓した土地に生き、その恵みを享受しているのでしょう。

 

 帰ってくると畑にナスの花が咲いています。本体はまだ小さいのに無理をして実をならそうとしています。もっと大きくなってから実をつけたらいいのに。ナスの木の健気さがここにあります。

 

 棚田の石垣に咲くベゴニアの花。春と秋に花をつけます。深野の棚田の高垣には、今、ベゴニアの花が咲き、棚田の下には雲海が見えることがあります。南を見れば櫛田川対岸の山々より棚田が高く見え、香肌の渓谷には朝霧がたまります。深野の棚田は雲上の棚田なのです。

 

 タマネギの薹、いよいよ種が重くなって本体が折れてしまいました。それでもこれがタマネギの戦略。本体は腐り肥やしとなって、種が地に落ちます。地に落ちた種は発芽して次の世代に引き継ぎます。命のリレーはこんな小さな一コマに凝縮されました。

 

 昨夜の雨で一気に小松菜が伸びています。

 

 昨夜の雨の恵みのおすそわけ。朝ご飯のサラダになりました。摘み立ての野菜は食感が最高です。