「竹の国」の花菖蒲 国史遺跡斎宮を訪ねて | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 平安時代に「竹の国」と呼ばれた地名が紀伊半島の中央部にあります。今の多気郡「たきぐんです。「多気」とは「たけ」と読みます。麦畑ば麦秋の季節を迎え、今、収穫の時を待っています。

 

 昨日からの雨は嘘のように晴れ上がり、五月晴れです。ツツジが名峰白猪山の麓に咲いています。

 

 竹の国には「あじさいの道」があります。東海自然遊歩道の立梅用水沿いにあじさいの並木道。あたりはひっそり閑として、気まぐれに春風が吹き抜けていきます。

 

 木漏れ日の下にひっそりと咲いているあじさいの花。これから満開に向けてさらに花を多くしていくでしょう。

 

 こんもりとした森林の中には紫カタバミの群落があります。誰も知らないような秘密の花園にあります。だれがこのような美しい花を創造したのでしょう。虫を美しさで魅惑するためなのか?

 

 春の日差しに紫に輝くように咲いているのは花菖蒲。この色を見れば、斎王様を思い起こします。

 

 果たして斎宮でした。ここは斎宮歴史体験館。無料で見学できます。しかも、平安時代の女房の十二単を着ることもできます。斎王様は、新しい天皇がご即位されるとここ、斎宮に群行して伊勢神宮の神様に使えました。未婚の皇女なので、今ならプリンセス愛子様のような方が次の天皇がご即位されるまでここで奉仕されました。

 

 都から竹の国でお暮らしになるのは大変なことかと推察いたします。それでも「伊勢物語」ではその優雅な生活も伺うことができ、王朝絵巻がここでも繰り広げられた時代がありました。

 

 おもいやる いつきのみやは あとふりて 花咲き残る かきつばたかな

 

 これは藤原為家の短歌です。想いを致すのに、斎王宮は多くの時代を経て 花だけが咲き残っている。かきつばたの花よ。大化の改新から斎王制度は始まり、平安時代に隆盛を極めたのですが、時代は為家が生きた鎌倉中期になるとその制度も廃れてきます。あの華やかだった時代は過ぎ去り、カキツバタだけが咲き残っているというのです。

 

 令和の時代、斎宮は吉野ヶ里、多賀城とともに国史遺跡に指定され、発掘復元が進められています。もともと天皇は国の祭祀を行うことが主なお仕事です。「祈ること」これが天皇制の淵源です。斎王制度は、天皇のご名代としてここ斎宮で伊勢神宮の神々にお仕えする、まさしく国が安らかで、すべての国民が幸いであることを祈る聖地でした。

 

 6月の第一日曜日には、斎王祭りが開かれます。今年の斎王様は誰が選ばれたのでしょう。葱花輦に乗られた斎王はまことにお美しい。それにしても、カキツバタの花の少ないこと。梅雨入りをしないと咲きそろわないようです。

 

 旅に終わりはスイーツ。イチゴ農家が経営するシャロンというお店にはいりました。イチゴ農家なのでやはりイチゴの食材を選びました。苺のモンブランです。惜しげもなくモンブランに苺の果肉が入っています。これでワンコインでしかもコーヒーがセルフなのでお値打ちです。