昨日の雨から今朝は晴れ間が出ました。 | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 お地蔵さんを祭る坂を越えて振り向いてみると、左には田植えが終わった田んぼ、そして、右側にはこれから始まる田んぼ。どちらにも水面には春の景色が映っています。昨日まで盛んに鳴いていたカエルの声はぴったりとやんでいます。

 

 東の稜線から太陽が昇ると田んぼの水面には一斉に山並みが逆さに映ります。人影は低い朝日で何倍にも長く引き延ばされました。

 

 東の方を向くとまぶしくて目が開けていられません。伊勢三山の白猪山の山頂にはまだ雨雲がかかっています。昼前になればこの黒雲もとれていつもの青空になることでしょう。そうしたら棚田の水面も青空に。雨が降らないと困るけど、雨上がりの田んぼはいつもより美田に見えます。

 

 松尾芭蕉の紀行文「奥の細道」ではこんな一句があります。

 

 風流の 初やおくの田 植うた

 

 芭蕉は千住を出発して奥州街道に入ります。ちょうど時節は田植えの時期。人々は田植え歌を歌って早苗を植えていきます。いよいよ風流の旅が始まりました。

 

 この深野の棚田も牛が鋤で田んぼをすいていました。こんな風景が半世紀前に広がっていました。モンペ姿のおばさんたちが歌を歌いながら苗を植えていきます。ドジョウやゲンゴロウが泳いでいました。水路が整備されるとドジョウは姿を消しました。農薬や化学肥料が普及するとゲンゴロウはいなくなりました。今は田金魚とアマガエルだけ。時代が移り環境は変わってもこんな生態系だけは残したいものです。